2018 Fiscal Year Research-status Report
アモルファス合金ナノ構造体のイオン液体への分散化と表面制御
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16K21573
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
柳沼 晋 長野工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (80516518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アモルファス合金 / イオン液体 / 物理蒸着 / ナノ構造 / 誘導自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アモルファス合金の非晶質由来の特性をベースに、イオン液体への物理蒸着を利用することにより、ナノスケール構造体を合成・分散する技術を開発し、それらの表面酸化や結晶化を制御することを目的とする。本年度は、当初の最終年度であったが、超高真空対応のマグネトロンスパッタソースの導入まで先送りせざるを得なかった、高真空スパッタ装置の整備を進めた。研究全体の進捗が遅れているため、2017年度に引き続き、コンパクトスパッタ装置を用いた金属スパッタ蒸着も並行しており、その結果をフィードバックしながら、ナノ粒子およびワイヤーの合成・分散化に取り組んでいる。 同じく2017年度から継続している表面吸着分子系の誘導自己組織化現象は、金属ナノ構造体を分散安定化させた流体試料を外場によって制御する上で基礎的知見となる。しかし、2017年12月の論文で報告した有機分子の拡散・凝集は、電界制御ではなく、バイアス電圧を印加することによりSTM探針を介した吸着・脱離現象に起因する可能性が完全には否定できていなかった。そこで、こうした疑義について実験的に検証した。まず、Bi(001)表面上のCuPc分子は、異なるテラス間を横切って移動することも凝集することもできないことが分かった。また、ステップによってナノスケールの狭いテラスに閉じ込められると、単一層の分子配列構造が形成された。さらに、テラス内の分子はほぼ一定数のまま凝集しており、このアイランドの位置はSTM探針を用いて操作できた。これらの結果から、STM探針による有機分子の電界誘起拡散・凝集モデルを実証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アモルファス合金から成るスパッタターゲットの入手困難に加え、現有のコンパクトスパッタ装置(既製品)の仕様制限により、ターゲットをはじめ実験装置・研究計画の軌道修正が必要となったため。スパッタ源ユニット一式は2018年度中に導入できたものの、最初の2年間の遅延を取り戻すことができず、補助事業期間延長を申請し、承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は大幅に遅れながらも、今年度前期に超高真空チャンバー(特注品)の納入を予定しており、これをまず高真空スパッタ装置として立ち上げる。後期には、単体の貴金属や卑金属のターゲットから着手することで、イオン液体への(RF)スパッタリングの予備実験を行う計画である。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究計画の遅延により、補助事業期間の延長を申請せざるを得ない状況にあった。今年度は特に、超高真空チャンバー(特注品)の新規購入を検討することになり(現有の超高真空チャンバーはスパッタダウンが困難なため)、将来の拡張性まで見据えた仕様策定に時間をかけてしまったため。 (使用計画) 超高真空排気装置一式(納入予定時期:令和元年8~9月)の購入費用(150万円程度)に充てる予定である。
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