2018 Fiscal Year Annual Research Report
Legal and ethical issues on pre-implantation diagnosis-A comparative study of Germany, Austria and Switzerland-
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16K21575
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
三重野 雄太郎 佛教大学, 社会学部, 講師 (40734629)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 着床前診断 / ドイツ / 胚保護法 / スイス / オーストリア / 生殖医療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、スイスにおける着床前診断規制の推移を文献資料の精読により明らかにしたうえで、ドイツ、スイス、オーストリアにおける着床前診断の規制をめぐる現状の調査を行い、日本における着床前診断規制のあり方についての試論を構築した。 現地調査では、ウィーン総合病院の医事法学者Leopold-Michael Marzi博士、オーストリア生命倫理委員会、グラーツ大学のErwin Bernat教授、ザルツブルクとミュンヘンの着床前診断を行っている病院のスタッフ、チューリッヒ大学のChristian Schwarznegger教授、Brigitte Leeners教授などにインタビュー調査を行い、各国における議論状況や医師として現行の制度に問題を感じている点、運用の現状などについて話を伺った。 また、スイスにおける着床前診断規制の推移については、研究の成果を第31回日本生命倫理学会にて、「スイスにおける着床前診断をめぐる法的・倫理的問題」と題した研究発表を行い、スイスにおける議論では、出生前診断と着床前診断の類似性、着床前スクリーニングを容認するかどうか、HLA検査を容認するかどうかが主な論点となっていたこと、(特にドイツと比べると、)全面禁止を主張する意見は非常に少なかったとことなどを示し、ドイツ、スイス、オーストリアの中では、ドイツ・オーストリアでは、生殖医療の問題に非常に厳格な考え方が主流であるのに対し、スイスは3ヶ国の中では比較的寛大な意見も多いことを明らかにした。 さらに、諸外国の状況から得られた知見をもとに、日本において法規制に向けた議論を行う際には、単なる性選別や救世主兄弟を目的とした着床前診断は認めるべきではなく、また、出生前診断と着床前診断の類似性に着目して両者の整合性を考慮して検討すべきであるという結論に至った。これについては、後に論文にまとめることとする。
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