2016 Fiscal Year Research-status Report
光沢選択性細胞の活動が光沢知覚に与える影響について
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16K21587
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
下釜 亜希子 (西尾亜希子) 生理学研究所, システム脳科学研究領域, NIPSリサーチフェロー (20750491)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 下側頭皮質 / 光沢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光沢情報が脳内でどのように処理されるのかを明らかにすることを目的としている。私はこれまで下側頭皮質において特定の光沢に選択性を持つ細胞領域(光沢選択的領域)が存在することを明らかにしてきたが、光沢選択的領域の活動と個体レベルでの光沢知覚との因果関係は不明であった。そこで、サルが光沢判断課題遂行中、光沢選択的領域やそれ以外の領域に電気刺激を与えて強制的に任意の領域のニューロン活動を上昇させることで、その領域の神経細胞の発火がサルの行動にどのような影響を与えるかを直接的に調べた。その結果、光沢選択的領域よりも1~2mmほど前方の領域を電気刺激した際に、光沢判断課題の成績に変化が見られた。なお、光沢選択性領域から比較的はなれた領域を電気刺激した際には、光沢判断課題の成績に変化は見られなかった。このことから、光沢選択性領域近傍の脳活動が、個体レベルの光沢知覚に影響を及ぼしている可能性が高い事が明らかになった。また、光沢判断課題に用いる視覚刺激について、当初は実験期間を通して同じ画像を使用する予定だったが、サルが画像を記憶して行動課題を行ってしまう可能性があるため、実験ごとに形状の異なる新規の画像セットを使用するよう変更した。視覚刺激変更後も電気刺激による影響は安定して得られている。今年度は一頭のサルで電気生理実験と電気刺激実験を完了し、2頭目のサルの行動タスクのトレーニングも完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルが画像を記憶してしまう可能性を除外するため、実験ごとに新規の視覚刺激を用いるように計画を変更し、実行できた点は良い方向に向かっているといえる。このような改良を加えた上でも、当初の予定通り一頭目のサルにおいて電気生理実験を終了し、二頭目のサルでも行動タスクのトレーニングを完了していることから進捗は予定通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は光沢判断課題のトレーニングを終えた2頭目のサルにおいて、光沢選択的領域の同定と、電気刺激実験実験を行い、一頭目のサルで得られた結果の信頼性を確認する。
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Causes of Carryover |
今年度は妊娠出産に伴う体調変化によってキャンセルした出張があったため、予定していた旅費の使用が無かったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り研究を進める上で、必要となる実験器具の購入に加え、今年度は精力的に学会発表などを行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)