2018 Fiscal Year Research-status Report
将来の地域人口・経済予測に基づいた持続的な水環境管理シナリオの提案に関する研究
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16K21595
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 千亜紀 (水谷千亜紀) 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (20714166)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 環境政策 / 環境対応 / 環境調和型都市基盤整備・建築 / 地理情報システム(GIS) |
Outline of Annual Research Achievements |
湖沼・内湾など閉鎖性水域の水質を保全・改善するためには,各種発生源からの汚濁負荷物質の排出・流出を抑制することが重要である.そのため日本各地では下水処理場などの設備が整備され,現在更新や再整備等が検討されている.しかし,人口減少期を迎え,発生負荷量が想定を下回ったり,インフラの維持・管理費用が不足したりするなど,整備当初とは想定外の事態となり,排水処理施設を将来どのように維持するかが課題となっている.そこで本研究では,国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計を高精細化した将来人口推計を用いて,将来の生活系汚濁負荷発生量を推計するとともに,生活系排水処理施設の維持・管理費を積算することで,将来の生活系排水処理施設の再整備・維持管理費の関係を考慮した水環境管理シナリオを提案する. 本年度は昨年度までに整備した下水処理事業に関する情報に,建物単位に非集計化された将来推計人口を組合せることによって,下水道処理区域毎に将来の処理区域内人口を算出し,その将来的な持続可能性を検討した.また生活系汚水の発生源ともいえる住宅の分布が,物理的に他の住宅から孤立している住宅を「遠隔住宅」と定義し,そのインフラの持続可能性に関する検証を行った.実務者へのヒアリングにより,建物の密度は汚水処理システムの選択に重要な要素であることが示され,引き続き,水環境管理シナリオの提案に向けた検討を実施するものとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで収集・整備した下水処理事業に関する情報を駆使し,得られた研究成果の一部を2本の査読誌(うち1本は国際誌)にまとめて発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画に従い,研究成果の取りまとめの一環として行った学会発表の際に専門家の方から,本研究の目的を達成にむけたより精緻な手法の提案をいただいた.その方は実務者であり,ご提案いただいた手法は未発表であったため,ご本人から直接ご指摘いただくまでその手法を知る機会が無かった.ご提案いただいた手法の実施にむけて,今年度は追加で必要となったデータの収集を行うとともに分析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
「今後の研究の推進方策」に記載したとおり昨年度,学会発表時にご提案いただいた手法を本研究に実装するため次年度に研究資金を確保し,新たに入手が必要となったデータの収集作業,データの処理・保存に必要な装置の確保,研究成果の発表等の原資に充てる予定である.
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