2017 Fiscal Year Annual Research Report
Searching functional aroma compounds of wood species with human psychophysiological responses
Project/Area Number |
16K21598
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
松原 恵理 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20467898)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 木材 / 香気成分 / 脳神経活動計測 / 主観評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
人の前頭前野を賦活化あるいは鎮静化する木材香気成分を探索するために,スギ,ヒノキ,ヒバ,サワラ,ヒメコマツの各材部の精油を試料として,各精油の揮発性成分(香気成分)を吸入した際の被検者の生理心理応答を計測した。被検者は成人男性として,近赤外分光脳機能イメージング装置を用いて生理応答の計測を行った。実験では,被検者の前頭(額)部全体を覆うようにセンサーを設置し,計42ヶ所で血流量を計測した。酸素は赤血球内のヘモグロビンと結合し運搬されるため、神経活動に伴い酸素代謝が著しい脳部位に対する血液供給量が増加すると考えられている。そこで本研究では,酸素化ヘモグロビン量を脳活動の評価指標として用い,供試試料及び対照(空気)吸入開始時の数値を基準値として相対変化量を算出することで各供試試料の影響を検証した。また,各試料の香気成分の強度や快-不快など主観的な評価を数値化した。その結果,ヒノキ材やサワラ材成分吸入後は酸素化ヘモグロビン量(脳活動の評価指標)が低下(鎮静化)し,ヒバ材成分吸入後は増加(賦活化)することが示唆され,樹種により酸素化ヘモグロビン量の経時変化に違いが見られることが分かった。主観的にはヒノキ材精油はより好まれる傾向が認められた。また,成分分析より,ヒメコマツ材はモノテルペン類が多く,それ以外の材はセスキテルペン類を多く含む精油であることが分かった。本研究では,樹種ごとの香気成分特性が人の脳(前頭前野)神経活動量と主観評価に影響を与える可能性が示唆されたことから,機能性を活かしたアロマセラピーや木製品の開発等,幅広い応用展開へと繋がる成果であると考えられた。
|
Research Products
(2 results)