2016 Fiscal Year Research-status Report
植物の複合ストレスへの抵抗性応答：罹病植物は食害虫を回避できるのか？
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16K21599
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| Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
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Principal Investigator |
植田 浩一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 植物・微生物機能利用研究領域, 契約研究員 (20432594)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 生物間相互作用 / 植物防御応答 / 植物-昆虫間相互作用 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
病気または害虫が個別に発生し、被害を受けた植物の応答はよく研究されている。しかし、屋外の植物は、病原菌や害虫から同時にストレスを受ける場合も多い。そこで、本研究課題では、ウイルス病罹病と昆虫食害を同時に受けた植物の、複合ストレスに対する抵抗性発現量の調節機構の解明を目指した。植物は、モデル植物かつ重要作物であるトマト。病原体は、トマトの代表的な病害であるトマトモザイクウイルス。食害虫は、多くの作物を食害し、難防除害虫であるタバココナジラミ。これらを用いて、耐病性と耐虫性の応答を定量的に解析する実験系を構築した。
当該年度は、モデル実験系を構築するために、トマトに対し、ウイルス、タバココナジラミを個別に処理し、その応答解析を行った。トマトモザイクウイルスに罹病したトマト、およびタバココナジラミに食害されたトマトのストレス応答遺伝子発現解析を、定量的リアルタイムPCRにて、植物から放出される揮発性成分分析、植物ホルモン定量をGC-MS（ガスクロマトグラフ-質量分析計）にて行った。いずれの処理でも、トマトは植物ホルモンであるサリチル酸を介した応答を発現した。また、タバココナジラミの処理頭数を変化させた試験から、処理頭数に対する応答強度の変化を確認できた。これらの応答解析結果から、ウイルス処理とタバココナジラミ処理条件を決定し、モデル実験系を構築した。
タバココナジラミによる選択試験を行うにあたり、構築したモデル実験系を用いて、嗜好性を評価するための基準を検証した。タバココナジラミの植物への着地観察、食害痕確認は困難だったため、計数しやすく、ウイルス罹病植物と健全植物との間で差が見られた産卵数を基準とした。現在、構築したモデル実験系を用いた選択試験を進め、選択に影響を与えた要因について詳細に解析を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トマトモザイクウイルスに罹病したトマトの応答解析、タバココナジラミの食害を受けたトマトの応答解析を行い、いずれの場合もサリチル酸を介した応答を行うことを明らかにした。これらの結果を受け、植物-ウイルス病-食害虫の相互作用を解析するモデル実験系を計画通り構築することができた。また、構築した実験系を用いて、タバココナジラミの産卵数を基準とすることによって嗜好性が評価できることを検証した。しかし、揮発性成分の分析について思いの外、時間がかかり、主要な成分分析までしか行えず、詳細な解析まで至らなかった。現在、継続中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の計画のとおり、構築したモデル実験系を用いて、選択試験を重ね、タバココナジラミが罹病植物と健全植物のどちらに嗜好性を持つのかを明らかにする。選択試験の結果を受け、タバココナジラミの嗜好性に影響を与えた要因を、詳細に解析していく。また、健全植物、罹病植物上でのタバココナジラミの生育に関わる現象（孵化率、羽化率、生育期間、食害量など）をそれぞれ計測し、嗜好性結果と比較評価する。
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| Causes of Carryover |
研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
構築したモデル実験系を用いた試験を効率よく行うため、選択試験に用いる容器購入、植物の遺伝子発現応答解析に用いる試薬および消耗品の購入に使用する。研究成果の発表および情報収集のための学会に参加する旅費を手当てする。
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Research Products
(1 results)
