2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a Compact Gas Sensing System Based on the Instantaneous Purge Method
Project/Area Number |
16K21602
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
今村 岳 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (60715754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | センサ / 機械学習 / 人工嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者の開発した瞬間パージ法(Instantaneous Purge法, IP法)を用いて、液体試料の蒸気をナノメカニカルセンサで分析するシステムの構築を行う。このIP法は、ナノメカニカルセンサの応答原理に基づいた分析手法であり、センサの受容体部分に試料の蒸気を十分吸収させた状態から瞬間的に大気に開放(パージ)することで、その減衰シグナルよりガス種固有のパラメータ推定を行う。本手法により、これまでセンサを用いた試料の分析には必須であったポンプやマスフローコントローラが不要となるため、センサ素子と試料を封入するチャンバーだけの極めてシンプルな測定系で試料の分析が可能となる。 最終年度となる平成29年度は、前年度に新たに開発された伝達関数に基づくガス識別法の開発を行った。この伝達関数法は、試料ガスの入力と出力の関係に注目する分析手法であり、任意の入力に対して解析が可能となる。さらに、複数チャンネルのセンサを用いることでこの入力の制御・モニタリングも不要となるため、センサ素子のみでの測定が可能となる。この伝達関数法は、IP法と比較して、(1)センサの種類を問わない、(2)チップを試料にかざすだけで分析が可能、(3)より多くの情報が抽出可能、というメリットがあることから、シンプルな測定システムを実現する上でIP法を上回る分析手法である。そのため、平成29年度は伝達関数法の理論的な基礎を固めるとともに、膜型表面応力センサ(MSS)を用いた簡易測定システムを立ち上げ、センサ素子を試料にかざすだけで試料の識別が可能であることを実証した。本研究成果について、2017年度 人工知能学会全国大会(第31回)およびMEMSセンシング&ネットワークシステム展 2017にて発表を行った。
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