2016 Fiscal Year Research-status Report
磁化バイオミネラルによる放射性Srイオン吸着材料の開発
Project/Area Number |
16K21604
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
関根 由莉奈 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究職 (00636912)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アパタイト / ストロンチウム / 吸着 / 選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
汚染水からのストロンチウム等の有害金属イオンの効果的な除去方法を見出すことは未だ急務の課題として残されている。本研究では、金属イオンに対する吸着特性を示すことで知られている天然材料のアパタイトを用いたストロンチウムイオン吸着材料の開発を目的とする。本年度の計画では、ハイドロキシアパタイト材料の作製及びストロンチウム吸着特性の評価であった。先ず、化学組成の異なるハイドロキシアパタイトのストロンチウムイオンの選択的吸着特性について評価を行い、汚染水からのSr2+の除染材料としての有用性を評価した。ハイドロキシアパタイトは、その結晶構造を保ちながら異なる化学組成比を取ることが出来、その化学組成比がアパタイトへの金属イオン等の吸着性に影響することが知られている。最初に、Ca 欠損型アパタイトと通常のアパタイトを用いてSr2+の吸着性を評価したところ、Ca 欠損型アパタイトは通常のアパタイトに比べて高い吸着性を示すことを明らかにした。汚染水中では、ターゲットであるSr2+以外にもCa2+やMg2+等の競合するイオンが多数存在し、それらが吸着剤の吸着性を減少させることが多々問題になる。そこで、同じ 2 価イオンであるMg2+及びCa2+存在下でのSr2+ の吸着率を調べたところCa欠損アパタイトは通常のアパタイトと比べ他のイオン存在下においても高い Sr2+ 吸着性を維持することを明らかにした。EXAFSを用いた評価により、 Ca 欠損アパタイトは Sr2+ が選択的に吸着するサイトが存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイドロキシアパタイト材料のストロンチウム吸着特性を評価することが本年度の目的であった。化学組成の異なるアパタイトが選択的かつ効果的にストロンチムイオンを吸着することを明らかにした。化学組成を変更するという比較的簡便な方法で優れた特性を持つ吸着剤の開発が可能であることを示す重要な結果であり、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた知見をもとに、ハイドロキシアパタイトのハイブリッド化等、さらなる有用な吸着材料の開発を目指していく予定である。当初は磁気微粒子との融合のみを予定していたが、化学組成を変えた材料も取り入れ、研究を展開していくことを予定している。
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Causes of Carryover |
当初計画において平成28年度に予定していた水溶性ポリマーを用いたアパタイト-磁性微粒子複合体の合成実験について、研究計画の見直しにより、平成29年度以降に変更したため、合成実験に係る費用について、次年度使用額として生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度分の研究費は当初計画に従い、合成試薬の購入や実験に係る機器の購入費用として使用し、平成28年度に発生した次年度使用額については、平成29年度以降に変更した合成実験に係る費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)