2016 Fiscal Year Research-status Report
シュマレンベルクウイルスと同様の遺伝子再集合体ウイルスが国内に現れる可能性の検証
Project/Area Number |
16K21609
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
白藤 浩明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門 越境性感染症研究領域, 主任研究員 (40414726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルボウイルス / 牛 / 異常産 / オルソブニヤウイルス / リアソートメント / 小動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
欧州では2011年にオルソブニヤウイルス属のシュマレンベルクウイルス(Schmallenberg virus:SBV)が出現し、牛、山羊、めん羊といった反芻動物の生産に甚大な被害を及ぼした。このSBVは、分類上同一の属(オルソブニヤウイルス属)に分類されるサシュペリウイルス(Sathuperi virus:SATV)とシャモンダウイルス(Shamonda virus:SHAV)の遺伝子再集合(リアソートメント)によって生じたウイルスと考えられている。一方、わが国ではSATVとSHAVの両ウイルスがこれまでに野外で分離されているが、欧州で発生したような大規模な家畜の被害は認められていない。このことを踏まえ、本研究ではSBVと同様のゲノム、増殖性および病原性をもつ遺伝子再集合体(リアソータント)ウイルスがわが国に出現する可能性を検討する。加えて、リアソータントウイルスの病原性評価や新規ワクチンの有効性評価に活用可能な、アルボウイルスによる牛異常産の小動物モデルの構築を目指す。 平成28年度は、培養細胞にSATVとSHAV(いずれも日本国内分離株)を重複感染させ、リアソータントウイルスの生成を観察した。SATVとSHAVの重複感染後に増殖したウイルスを回収し、プラーククローニングを行った後、SATVとSHAVの各ゲノム分節(S、M、L)の部分配列を検出するためのRT-PCR法を行い、回収したウイルスのゲノム分節がSATVとSHAVのいずれに由来するかを明らかにした。その結果、SとMゲノム分節がSHAV由来、Lゲノム分節がSATV由来であるリアソータントと考えられるウイルスが回収された。一方、SBVと同様のゲノム構成をもつリアソータントウイルスは回収されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアソータントウイルスの生成に関する実験については一定の成果が得られており、順調に進捗しているといえる。一方、観察されたリアソータントウイルスの特徴は、近縁な他のウイルス(ブニヤウイルス科に分類されるウイルス)でこれまでにみられた特徴とは若干異なることから、平成29年度中に追試を行い、リアソートメントの再現性を検証することにしている。 牛異常産の小動物モデル構築に関しては、平成29年度の実験開始に先立ち、一部のウイルス株および小動物を用いた予備的感染実験を実施しており、予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
リアソータントウイルスの生成に関する実験については、平成28年度に得られた結果の再現性を検証するとともに、培養細胞の種類を変えて検証を継続する。また、SATVとSHAVの重複感染によって得られたリアソータントウイルスについては、培養細胞における増殖性や哺乳類における病原性を明らかにする。 牛異常産の小動物モデル構築に関しては、妊娠動物へのアカバネウイルスの接種を行い、異常産の発生率を観察する。
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