2018 Fiscal Year Annual Research Report
Thermostable protein with denaturation temperature (Td) of 150 oC will be produced by substitution of ionic residues considering of flexibility in the water
Project/Area Number |
16K21618
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松浦 祥悟 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, リサーチアソシエイト (50513462)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蛋白質工学 / 蛋白質の安定化 / バイオテクノロジー / 静電相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今度年は、熱安定性が増加した変異型について、引き続きMDシミュレーション(40 nsec)を行った。最終的に、鋳型であるEc0VVも含めて21個の変異型のMDデータを取得した。荷電性残基間の静電相互作用を評価するために、各変異型のMDシミュレーション中の17構造を選出(RMSD値がほぼ一定に達した8nsから2ns毎に経過した各瞬間構造)し、これらの瞬間構造を用いて荷電性残基間の静電相互作用エネルギーをFoldXによって評価した。その結果、荷電性残基導入によって熱安定化した多くの変異型では、蛋白質分子全体での静電相互作用が強化されており、静電相互作用エネルギーと変性温度(Td)の増加は高い相関を示した。 最も熱安定性が増加したEc0VV_9変異型において、導入した荷電性残基9残基について、静電相互作用がどのように変化するかを詳細に検証した。Ec0VV_6変異型に導入している6つの荷電性残基に関してはEc0VV_6とほぼ同様の静電相互作用を保持していた。新たに導入したArg25の静電相互作用はEc0VV_9変異型においても、一残基置換型の場合と同様であった。Glu101は一残基変異型、Ec0VV_9変異型、いずれにおいても静電相互作用の低下が示唆されたが、Tdは増加した。101位はα-Helix-3のN末端に位置するため、負荷電残基導入によるHelix dipole momentの強化で安定化したものと考えられる。Glu108では一残基置換, Ec0VV_9変異型ともに静電相互作用の変化は小さかった。108位はα-Helix-3に位置しているが、正荷電残基変異型N108K, N108Rにおいても共に安定性は増加していた(N108E, N108K, N108R変異型のTdは それぞれ、+2.1, +2.8, +2.3℃増加した)。そのため、静電相互作用以外の要因で安定化していると考えられる。これは、鋳型のAsnよりもGlu, Arg, Lysの方がHelix propensityが高いことが知られているため、二次構造強化によって変異型の熱安定性が増加したものと考えられる。
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