2016 Fiscal Year Research-status Report
Exploration and Identification of schizophrenia related lipid molecules
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16K21622
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島本 知英 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 基礎科学特別研究員 (90755117)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂肪酸結合タンパク質 / 統合失調症 / 自閉症スペクトラム障害 / イメージング質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症や自閉症スペクトラム障害(ASD)は現存の治療法で完治が困難であることから、新規予防・診断・治療法の開発が強く求められている。 研究代表者はこれまでに、脂肪酸(臨床研究により、統合失調症やASD の病態生理との関連性が示唆されている因子の一つ)を細胞内で運搬する働きを担う脳型脂肪酸結合タンパク質(Brain-type Fatty Acid Binding Protein: FABP7)の質的量的変化が精神疾患の病態に関与する可能性を見出している。そこで、本研究では様々な精神疾患関連行動異常を示すFabp7 遺伝子欠損マウスを疾患モデル動物として採用し、行動異常に関与する疾患関連分子の同定を目指す。 現在までに、イメージング質量分析法(Imaging mass spectrometry: IMS)を用いた脳の脂質分布・組成解析を行った。IMSは飛行時間型質量分析法で得たスペクトル情報と、測定ポイントの位置情報をもとに、標的分子の分布と量をイメージとして表示する手法である。解析の結果、Fabp7 遺伝子欠損マウスの脳では、疾患との関連が報告されている脳領域において、特定の脂肪酸側鎖をもつリン脂質やスフィンゴ脂質の含量が対照群と比較して低い傾向を示すことが分かった。今後、さらにIMS解析を進めるとともに、液体クロマトグラフ質量分析器(Liquid Chromatography/Mass Spectrometry: LC-MS)を用いた分子構造解析及び精密定量解析を行い再現性の検討を行い、疾患関連分子の探索・抽出を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、平成28年度にはFabp7遺伝子欠損による脳内脂質の組成・分布変化を理解するために、Fabp7 KOマウスの脳のイメージング質量分析を行った。その結果、統合失調症との関連が示唆されている脳領域で特定のリン脂質やスフィンゴ脂質の含量がKOマウスでは野生型と比較して少ない傾向にあることを見出した。したがって、研究計画は概ね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで解析に使用していたKOマウスが、近傍の別遺伝子にノックアウトマウス作成時に使用したES細胞由来の変異を持っていることが偶然判明した。この遺伝子は脂質代謝への関与が想定される遺伝子ではないものの、Fabp7単独の効果を検証するためにはFabp7遺伝子欠損のみもつマウスを解析対象とすべきであると考え、CRISPR/Cas9nシステムを用いて新たにFabp7 KOマウスを作成し、すでにファウンダーマウスを得ている。平成29年度は新たに作成したFabp7 KOマウスに、旧マウスと同様の精神疾患関連行動異常が現れることを確認した上で、Fabp7 遺伝子欠損マウスの脳の脂質組成・分布解析を行い、これまでに得ている結果の再現性を確認するとともに、変動脂質の分子構造解析及び精密定量解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りに解析が進んでいるが、IMS解析を完了した時点で、これまで解析に使用していたKOマウスが、近傍の別遺伝子にノックアウトマウス作成時に使用したES細胞由来の変異を持っていることが偶然判明したため、次に予定していたLC-MSを用いた解析を一時中断し、Fabp7単独の効果を検証するためのマウスを新たに作成した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに作成したマウスをサンプルとして用いて、LC-MS解析などを行い、これまで得ている結果の再現性確認と詳細な解析を行う。
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[Journal Article] Comprehensive association analysis of 27 genes from the GABAergic system in Japanese schizophrenia patients2017
Author(s)
Shabeesh Balan, Kazuo Yamada, Yoshimi Iwayama, Takanori Hashimoto, Tomoko Toyota, Chie Shimamoto, Motoko Maekawa, Shu Takagai, Tomoyasu Wakuda, Yusuke Kameno, Daisuke Kurita, Kohei Yamada, Mitsuru Kikuchi, Tasuku Hashimoto, Nobuhisa Kanahara
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Journal Title
Schizophrenia Research
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Astrocyte-expressed FABP7 regulates dendritic morphology and excitatory synaptic function of cortical neurons.2016
Author(s)
Majid Ebrahimi, Yui Yamamoto, Kazem Sharifi, Hiroyuki Kida, Yoshiteru Kagawa, Yuki Yasumoto, Ariful Islam, Hirofumi Miyazaki, Chie Shimamoto, Motoko Maekawa, Dai Mitsushima, Takeo Yoshikawa, Yuji Owada
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Journal Title
Glia
Volume: 64
Pages: 48-62
Peer Reviewed
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