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2016 Fiscal Year Research-status Report

乾燥・高温誘導性転写因子DREB2Aの時空間特異的な機能とその制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 16K21626
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

佐藤 輝  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (90756058)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsシロイヌナズナ / 環境ストレス / 乾燥ストレス / 高温ストレス / 転写制御 / 転写複合体
Outline of Annual Research Achievements

乾燥・高温ストレス条件下においてDREB2Aを制御するNF-YCタンパク質を単離するために、NF-YB2、NF-YB3と相互作用するNF-YCを酵母のツーハイブリッドシステムにより明らかにした。さらに相互作用の強度、データベース上における発現の組織特異性、ストレス誘導性から、乾燥・高温ストレス時にDREB2Aを制御するNF-YCタンパク質を限定した。現在は過剰発現体およびノックアウト変異体を単離中である。
また、NF-YB2、NF-YB3の過剰発現体の解析を行った。これらの植物体を同時にストレス処理したところ、高温ストレス条件下ではNF-YB3過剰発現体においてDREB2A標的遺伝子の発現が上昇しており、NF-YB2過剰発現体では発現に変化が見られなかった。一方で、乾燥ストレス条件下ではNF-YB2過剰発現においてDREB2A標的遺伝子の発現が上昇している一方で、NF-YB3過剰発現体ではDREB2A標的遺伝子の発現が低下する傾向が見られることが明らかになった。現在はトランスクリプトーム解析を行っている。
また、細胞種特異的な遺伝子発現解析を行うために、レポーターとなるプロモーターの単離を行った。データベースに基づき、葉肉細胞、維管束組織において特異的に発現し、発現量が強く、またストレスによる発現量の変化が少ないプロモーターを選抜し、レポーター遺伝子を繋いで形質転換体を作出した。その結果、葉肉細胞マーカーとして今回の目的にかなうプロモーターは単離された。一方で、維管束特異的レポーターとして単離したいくつかのプロモーターは、根において強い維管束特異的発現が見られたが、地上部においては弱い発現しか確認できなかった。このことから、別の方法により再度レポーターの選抜を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

DREB2Aを乾燥および高温ストレス特異的に制御するNF-Y三量体の解析については、NF-YCタンパク質の単離・形質転換植物体の作出を行い、またNF-YB2、NF-YB3過剰発現体およびノックアウト変異体の解析が進展している。特にNF-YB2、NF-YB3に関してはストレス特異性とDREB2Aの転写活性化に対する新たな知見が得られていることから、概ね計画通りに進んでいると言える。
一方で、細胞種特異的な遺伝子発現解析については、葉肉細胞特異的なプロモーター、また地下部維管束組織特異的なプロモーターが単離できたが、地上部維管束特異的なプロモーターが上手く単離されなかった。過去の報告によれば、乾燥ストレス時に働く植物ホルモンであるABAは主として地上部維管束で合成され、また高温ストレスの受容には地上部に存在する葉肉細胞が重要であることが示唆されている。このことから地下部のみならず、地上部における維管束特異的プロモーターも今後必要になることが予想される。葉肉細胞、地下部維管束細胞特異的な遺伝子発現解析については、必要な形質転換植物の作出が進んでおり、概ね計画通りに進んでいるが、地上部維管束細胞特異的な遺伝子発現解析についてはプロモーターの再選抜を行っている段階であり、この点で計画からやや遅れがあると考えている。

Strategy for Future Research Activity

まず、NF-YB2とNF-YB3の機能とストレス特異性の解析をさらに進める。具体的には、ネイティブプロモーターにより発現誘導したタグ付きのNF-YB2、NF-YB3を導入した植物を用いてクロマチン免疫沈降実験を行い、ストレス特異性と標的への結合の選択性の評価を行う。また、抑制ドメインを融合したNF-YB2、NF-YB3をストレス誘導性プロモーターあるいはDEX誘導性プロモーターを用いて発現させ、ストレス特異性と標的遺伝子の発現の変化を明らかにする。
乾燥ストレス条件下においてDREB2Aを制御するNF-Y三量体の形成については、まず同定したNF-YCとNF-YB2あるいはNF-YB3を用いて、酵母のスリーハイブリッド実験を行い、三量体を形成するNF-YAタンパク質を単離する。また、同定したNF-Y三量体を用いて転写活性化実験を行い、葉肉細胞由来プロトプラストにおいてDREB2A標的遺伝子プロモーターを活性化できるかを調べる。また、同定したNF-YC、NF-YAについて過剰発現体、ノックアウト変異体を順次作出し解析する。
細胞種特異的な遺伝子発現解析については、単離することができた葉肉細胞特異的プロモーター、地下部維管束組織特異的プロモーターおよび植物体全体の過剰発現プロモーターを用いて、細胞種特異的な核単離実験の条件検討を行い、実験系を確立する。また、地上部維管束組織特異的プロモーターを単離するために、過去の論文において地上部維管束組織特異的発現を行うプロモーターの内、データベース上で発現量が強く、ストレスによる発現量の変化が少ないプロモーターを同定し、レポーター遺伝子に融合した形質転換植物体を作出する。

Causes of Carryover

所属機関の会計システム上3月分の物品購入ができないことから、3月に予定していた物品の購入を次年度に延期したため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

生じた次年度使用額は、ウエスタンブロッティング用の特異抗体購入に使用する予定である。今年度請求した助成金の使用計画としては、次世代シークエンスによってトランスクリプトーム解析・ChIP-seq解析を行うためのキットの購入、また、ChIP-qPCRを行うためのキットやDNAラベル用の放射性同位体の購入や、国際・国内学会への参加費および旅費、論文投稿費および英文校閲費、その他一般的な分子生物学実験試薬やプラスチック消耗品の購入を予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Transcriptional Regulatory Network of Plant Heat Stress Response2017

    • Author(s)
      Naohiko Ohama*, Hikaru Sato* (*equal contribution), Kazuo Shinozaki, and Kazuko Yamaguchi-Shiniozaki
    • Journal Title

      Trends in Plant Science

      Volume: 22 Pages: 53-65

    • DOI

      10.1016/j.tplants.2016.08.015

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] Enhancement of heat stress tolerance in rice by overexpressing Arabidopsis transcriptional regulator DPB3-1/NF-YC102016

    • Author(s)
      Hikaru Sato, Daisuke Todaka, Madoka Kudo, Junya Mizoi, Satoshi Kidokoro, Yu Zhao, Kazuo Shinozaki1 and Kazuko Yamaguchi-Shinozaki
    • Organizer
      27th International Conference on Arabidopsis Research
    • Place of Presentation
      Gyeongju, Korea
    • Year and Date
      2016-06-29 – 2016-07-03
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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