2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアDNAを可視化・操作する新規ツール開発と生理機能解析
Project/Area Number |
16K21634
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
稲生 大輔 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 特別研究員 (40721981)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは、核内のゲノムDNAとは異なる独自の16kbほどの環状DNA(ミトコンドリアDNA; mtDNA)を持つ。mtDNAは、ミトコンドリアの電子伝達系に関わる酵素の一部やミトコンドリア内リボソームRNAをコードしており、ミトコンドリアの正常なエネルギー代謝に必須な役割を果たしている。実際にmtDNAの塩基配列の変異が、エネルギー消費が活発な筋肉や神経系の組織に異常を生ずるミトコンドリア病の大きな一因となっているからもその重要性が見て取れる。さらにmtDNAのコピー数の変動が、細胞の老化やAlzhaimer病・自閉症といった病気とも関連することも提唱されてきており、その重要性が明らかになりつつある。しかしながら、mtDNAのコピー数とその生理機能との関連を示す直接的な証拠は未だに乏しい。この原因としては、これまでのmtDNAの解析が固定した組織を用いた組織化学や単離した組織を用いた生化学の手法により主に行なわれており、生細胞の中でmtDNAを定量的に解析し、その数を操作する手法が確立していない点を挙げることができる。 そこで、本研究では新規mtDNA可視化蛍光プローブと操作ツールの開発を目指すことにした。本年度はDNA構造可視化プローブを作成することを試みた。細菌由来の高親和性DNA結合蛋白質に様々なmutationを導入し、これに蛍光蛋白質を付加することで、従来のプローブと比較して、核内ゲノムDNAの構造・動態を鮮明にとらえることができる新規プローブを作成することに成功した。蛍光タグ部分の付替えにより本プローブはSTEDやSTORMといった超解像イメージングにも応用が容易に可能であるため、DNAの微細構造を解析するための有用なDNA可視化プローブであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画段階とは異なるアプローチによりプローブの作成に取り組んだが、当初の予想よりはるかに性能のよいプローブが完成した。本プローブをベースに次年度の研究に取り組んでいく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本プローブをミトコンドリア内にターゲッティングしてミトコンドリアDNAの可視化に取り組む予定である。 また、本プローブは蛍光蛋白質部位を入れ替えることでミトコンドリアDNAの操作ツールとして改良できるポテンシャルも持つため、こちらも進めていきたい。
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Research Products
(4 results)