2016 Fiscal Year Research-status Report
ポリコーム標的遺伝子Glis2による白血病幹細胞の分化制御機構の解明
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16K21646
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
高松 絵美 (市原絵美) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (80771592)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | AML / Ring1A/B / Glis2 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、ポリコーム抑制複合体構成因子Ring1A/BがMOZ-TIF2白血病の幹細胞の維持に重要であることを明らかにし、またRing1A/Bによって発現が抑制されているターゲット遺伝子としてGlis2を同定していた。 今回、Ring1A/Bによる白血病幹細胞維持におけるGlis2の重要性を明らかにするために、Ring1A/Bを欠損させてもGlis2遺伝子が抑制解除されないRing1A/B, Glis2トリプルKOマウス(Ring1A-/-, Ring1Bf/f, Glis2f/f, ERT2Cre)を作成した。Ring1A/B, Glis2トリプルKOマウスBMのcKit陽性細胞に融合遺伝子MOZ-TIFを導入することで作成した白血病細胞を用いてコロニーアッセイやマウスへの移植実験等を行った。比較対象としてはRing1A/BダブルノックアウトマウスBMのcKit陽性細胞から作成した白血病細胞を用いた。Ring1A/Bのみの欠損ではコロニー形成能が完全に消失したが、Glis2を同時に欠損させることでコロニー形成が部分的に回復した。ギムザ染色では、Ring1A/B欠損で消失した未熟な形態を示す細胞がGlis2の同時欠損下では維持されていた。マウスBM細胞の白血病幹細胞分画の解析では、Ring1A/Bの欠損により劇的に減少したL-GMP分画がGlis2の同時欠損では維持されていた。以上の結果から、Ring1A/BはGlis2の発現抑制を介して白血病幹細胞の未分化性を維持していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、Ring1A/B, Glis2トリプルKOマウスを作成し、Ring1A/BダブルKOとの比較を行うことで、Ring1A/Bによる白血病幹細胞維持においてGlis2が分化抑制を担う重要なターゲット遺伝子であることを明らかにした。Glis2による分化制御の分子メカニズムについても、Glis2を過剰発現させた白血病細胞を用いてマイクロアレイ解析を行うなど、下流のターゲット因子の同定に向けて現在進行中である。したがって、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
Glis2による白血病細胞の分化誘導の分子メカニズム明らかにするために、Glis2が発現制御するターゲット因子についての解析を進める。さらに、正常の造血細胞におけるGlis2の機能解析も行い、白血病細胞と正常造血細胞における機能の違いを明らかにする。
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Causes of Carryover |
物品の価格変更等により当初の使用計画通りにはいかなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費として使用することとする。
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