2018 Fiscal Year Annual Research Report
TRU型肺腺癌の起源細胞候補であるTTF-1/p63共陽性細胞の性質の解明
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16K21648
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山田 健二 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 外来研究員 (70645069)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TRU-type肺腺癌 / TTF-1 / p63 / LGR6 / Wntシグナル / R-Spondin / 発がん実験 / 組織幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
喫煙と関係なく発生するTRU(terminal respiratory unit) typeの肺腺癌の起源細胞候補となる新規の正常対応細胞として、TTF-1/p63共陽性細胞(DP細胞)をヒト成体肺の細気管支肺胞管移行部に見出し、その細胞の長期培養(telomerase活性の維持)とTTF-1発現の維持にWnt3A/R-Spondin1のconditioned medium(WR)の添加が重要であることを明らかにした。 DP細胞にhTERTを導入し不死化させた細胞をシングルセルクローニング後、サブクローニングした結果、DP細胞からなるクローンの他に、細胞形態や増殖能が異なるTTF-1陽性p63陰性のII型肺胞上皮様の細胞(TTF-1-SP細胞)からなるクローンを生じることがわかり、DP細胞は自己複製の他に少なくとも1分化能があるものと考えられた。R-Spondinの受容体であるLGR5やLGR6はWntシグナルを増強し、種々の臓器の上皮幹細胞で発現しているため、これらの発現についてqPCRで調べたところ、TTF-1-SP細胞にLGR6が高発現しており、WR添加によりAXIN1やLGR6自体など、Wnt標的遺伝子の発現が亢進していることが確認された。一方DP細胞ではLGR6発現レベルはTTF-1-SP細胞の1/200以下と極めて低かったが、WR添加によりbasal levelの30倍程度まで発現が亢進したことから、DP細胞からTTF-1-SP細胞への分化に関与している可能性も考えられた。LGR5の発現は両者の細胞で極めて低かった。 これらの細胞にTRU typeの肺腺癌に見られるEML4-ALKをはじめとする癌遺伝子を導入する発がん実験のためのウイルスベクターを作製したが、所属研究施設の規定変更により研究課題が廃止となり、実験動物への細胞移植実験は行うことはできなかった。
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