2017 Fiscal Year Research-status Report
運動学習制御における内部モデル機能解明に関する研究
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16K21649
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
本多 武尊 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (20761307)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動学習 / 運動制御 / 内部モデル / 順モデル / 逆モデル / 小脳患者 / 脊髄小脳変性症 / プリズム適応課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は学習を行うことで内部モデルを構築し、例えば、日常の運動をスムーズに行うことを実現していると考えられているが、内部モデルがどのような情報をモデル化しているのかについては明らかにされていない。本研究では、①プリズム適応課題を応用したヒトの行動実験を行い、内部モデルの特性を調べる。②理論的枠組みを構築し、小脳の内部モデル機能を明らかにする。③この理論的知見に基づき、クリニカルインデックスを開発し、小脳患者の小脳の運動学習機能を測定し、臨床への貢献を目指す。 当該年度では、ヴァーチャルリアリティー技術と赤外線カメラによるモーションキャプチャー技術を応用した、プリズム適応課題の実施を可能とするシステムを完成させ、データ収集を行った。クリニカルインデックスの開発に成功し、健常者と小脳患者との判別について感度・特異度が非常に高いことを示した。予想を超えた成果として、逆モデル機能が低下する小脳患者のグループと順モデル機能と逆モデル機能の両機能が低下する小脳患者のグループとに分けることができた。これは医学的に知られていない知見である。カナダで開催された国際小脳学会でその成果を発表した。理論的枠組みとして、実験式が「小脳患者をその二つのグループに分けることができる」ことを示すことに成功した。これは、ワシントンD.C.で行われた北米神経科学大会で高い評価を受けたため、口頭発表に選出された。以上の成果を論文にまとめ投稿し、Minor revisionである。また、予想を超えて、理論的枠組みにおける実験式ばかりでなく理論式の構築にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進み、システムは完成し、内部モデルの特性として、順モデルと逆モデルが直列につながっていることを明らかにし、理論的枠組みとして、順・逆モデル混成システムを構築し、実験式を導出できた。また、クリニカルインデックスを開発し、その分布を調べた。 予想を超えて、理論式も導出できたため、その成果を論文で報告する必要がでてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
順・逆モデル混成システムの理論式の特性を導出し、論文の投稿を目指し、臨床現場での使用を考えて、クリニカルインデックスの分布を説明するための理論的知見を確立する。
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Causes of Carryover |
理由) 予想を上回る貴重な結果が出たことによって、その結果を学会で発表をする必要が生じた。
計画) 学会参加費、出張費の支出、および、その後の英文校閲費、論文誌投稿費等に使用する。
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Research Products
(2 results)