2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of phospholipid metabolism for thymus function
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16K21651
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
吉田 智美 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (30610216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リン脂質 / 胸腺分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体膜構成成分であるリン脂質はエネルギー源やシグナル分子の貯蔵体としての機能もあわせもつ。リゾホスファチジルコリンアシルトランスフェラーゼ3(LPCAT3)は、生体内のあらゆる組織においてアラキドン酸およびオレイン酸含有リン脂質を生合成する事が遺伝子欠損マウス解析より明らかになっている。LPCAT3遺伝子欠損マウスは新生児致死であったため、薬剤投与による誘導性遺伝子欠損マウスを作成した。5-6週齢のマウスに薬剤(タモキシフェン)を投与し遺伝子欠損マウスを作製したところ、胸腺萎縮が観察された。この萎縮の原因を探るため、胸腺組織のHE染色及びTUNEL染色を行った。HE染色の結果からは胸腺の皮質部分の縮小がみられ、TUNEL染色の結果からは髄質において胸腺細胞がアポトーシスを起こしている事が分かった。さらに回収した胸腺細胞の表面抗原をフローサイトメーター(FCM)で解析したところ、全てのリンパ球の減少がみられ、特にCD4CD8ダブルポジティブ(DP)細胞の減少が著しかった。これは皮質の縮小と一致した結果であった。さらに詳細な解析を行うため、胸腺特異的なLPCAT3遺伝子欠損マウスをlck-Creマウス、CD4-Creマウスの2系統を用いて作製した。LPCAT3-Flox/ CD4-Creマウスでは野生型と遺伝子欠損型での胸腺の細胞数やTリンパ球のポピュレーションの違いが観察されなかった。一方、LPCAT3-Flox/ lck-Creマウスでは遺伝子欠損型で細胞数の若干の減少がみられた。Tリンパ球のポピュレーションをFCMで確認するとDP、CD4SP、CD8SPが減少し、ダブルネガティブ(DN)の増加していた。現在、この原因を解明するために詳細な解析を行なっている。
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