2016 Fiscal Year Research-status Report
アフリカでの皮膚症状を有する「顧みられない熱帯病」の疫学的調査と新規疾病対策構築
Project/Area Number |
16K21656
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
四津 里英 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (70566215)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 顧みられない熱帯病 / ハンセン病 / ブルーリ潰瘍 / 学童皮膚検診 / 西アフリカ / 国際保健 / 遠隔診療 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28度は、学童皮膚検診の導入をコートジボワールの西北部に位置するGagnoa地域において実施した。1) 過去3年におけるハンセン病あるいはブルーリ潰瘍の発症報告地域、および2) 分布が均等になる2条件をもとに計38のサブ地域を選択し、さらに各サブ地域から1校を選択した。結果、計9,930人の検診(Gagnoa全学童数の9.2%)を、2チーム(各チーム:皮膚科医、パスツール研究所医師、検査技師、地域クリニック看護師、データマネジャー、ロジスティシャン等の約10名)を構成し実施した。調査期間は、12月12-16日および1月30日~2月17日であった。重症例や診断困難例について、スマートフォンでの写真撮影を患者同意のもと行った。疾患名の他、衛生習慣などの皮膚病罹患のリスクファクターも評価項目とした。 まずは、地域看護師がスクリーニングを行い、1,781名の児童がリストアップされた。さらに、医療チームによる検診の前に啓発活動を行い、883名の児童の追加検診を実施した。結果、2例のハンセン病、3例のブルーリ潰瘍がみつかった。いずれも3つの村からの症例で、症例の集中がみられた。神経障害による変形(ハンセン病)や潰瘍の拡大化/関節の硬直等(ブルーリ潰瘍)出現前に早期発見でき、治療を開始している。現在、地域クリニック看護師によりフォローアップ中である。その他、1,220名が白癬症(54%)、1,055名が癜風(47%)といずれも真菌皮膚感染症が皮膚疾患診断の大部分を占めた(重複例あり)。データについては、現在さらに解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
-学童皮膚検診のシステム構築は、当初の予定通りに順調に進んでいる。 -検診を受ける学童の数が多く、スマートフォンでの皮膚症状の撮影による記録は当初は全ての学童に実施する予定だったが、一部の学童にのみ実施可能であった。また、データベースの整理が今年度中にはできずに、データ収集の遅れの要因のひとつとなった。 -学校にいっていない子供も多く、症例の集中を認めた村では、この対象群にどうアプローチをするかの検討が必要である。 -3年で3つの地域をカバーする計画で、今回1年間で1地域をカバーできたので、予定通りである。ただし、現地のニーズが変わり、当初の予定の3地域(Adzope, Oume;, Tiassale)ではなく、今回Gagnoaを対象とした。Gagnoa周囲の地域はブルーリ潰瘍の多発地域として知られるが、Gagnoaではブルーリ潰瘍対策はアクティブに活動しておらず、その実態の把握がされていない。今回のプロジェクトから得られるデータは、特に、同地域の今後のブルーリ潰瘍対策の計画補助となる。
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Strategy for Future Research Activity |
-対象地域:Gagnoaはコートジボワールの中でも一番大きな地域のひとつであり、この地域でのハンセン病やブルーリ潰瘍の把握やシステム構築が重要である。平成29年度のプロジェクトは、平成28年度のプロジェクトの結果を受け、Gagnoaに焦点をあてることとする。特に、平成28年度の調査で明らかとなったホットスポットおよびその周辺地域での研究を推進する。 -データ収集法:平成28年度はEpiInfo softwareを用いて患者情報のデータベースを作成し、データ解析を実施した。平成29年度は平成28年度の教訓からデータベースの改善を行うのとともに、teledermatologyのシステム構築に向けて写真データの効率的および効果的な整理法を確立する。 -現地において、地域看護師を対象に皮膚疾患およびデータ収集法についてのトレーニングを実施する。 -その他、方法に変更はない。
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Research Products
(4 results)