2017 Fiscal Year Research-status Report
潅流スピンラベリングを用いた脳血量定量測定による脳の概日リズムと全身的協関の解明
Project/Area Number |
16K21657
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
元村 祐貴 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (50645273)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 潅流スピンラベリング / 睡眠 / 生体リズム / 前帯状皮質 / 島皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神機能に多大な影響を及ぼすにもかかわらず、生体リズム機構と実際の脳活動との関連についてMRIを用いて検討した研究は少なく、その詳細は明らかにされていない。本研究では、潅流スピンラベリング法(arterial spin labeling: ASL)を用いてヒトの睡眠、生活リズムと脳活動の関連について調査することを目的とした。安静時ASL画像の測定と、アクチグラフによる睡眠・生活リズムの測定を実施し、両者の関連を検討した。ASL-fMRI撮像直前1週間の観察期において、各被験者の睡眠・覚醒スケジュールを睡眠表と手首装着型アクチグラフによってモニターした。Coleのアルゴリズムを用いて活動量データから睡眠習慣の各指標(総睡眠時間、睡眠効率、睡眠潜時、wake after sleep onset (WASO)、睡眠中点と睡眠中点の標準偏差)を算出し、睡眠・生活リズム指標と安静時における全脳のrCBFの相関解析を実施した。初年度にデータを取得した被験者42名を50歳以下のyoung群と50歳以上のold群に分けて解析を行い、今年度はyoung群(健康な成人21名、28±6.64歳、女性2名)を解析の対象とした。その結果、総睡眠時間と一次視覚野のrCBFが有意な負の相関、デフォルトモードネットワークの中心的な領域である楔前部がその傾向を示した。WASOと痛みやネガティブ情動に関連する前帯状皮質のrCBFが正の相関を示し、睡眠の質が低い被験者ほど前帯状皮質での活動が高いことが明らかになった。また日周指向性を反映するとされる睡眠中点時刻と特定の脳領域との関連は認められなかったが、生体リズム機構の不安定性と関連する睡眠中点時刻の標準偏差と、一次視覚野のrCBFが有意な正の相関を示し、右島皮質が有意な負の相関の傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に取得したデータを解析した結果、学会発表に足る成果を得ることが出来た。また当該研究と関連する複数の論文が国際誌に受理されている。上記の状況を鑑み、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前期に国内での学会(日本生理人類学会第77回大会)にてyoung群を対象とした解析の成果を発表する予定である。学会発表において当該分野の専門家からの知見を集約し、国際誌へ投稿する論文としてまとめることを目標とする。またold群の解析を実施し、young群と比較することによって加齢が脳血流と睡眠・生体リズム機構の関連性に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
所属機関で新規解析機材導入があったため、予定していた解析機材類の購入を見送った。次年度は解析の迅速化のための複数名による解析に対応する解析環境のアップグレード、解析補助者の給与、論文投稿前の英文校正や、必要に応じて追加実験等に使用する予定である。
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Remarks |
日本生理人類学会第76回大会にて発表奨励賞を受賞
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Evaluation of circadian phenotypes utilizing fibroblasts from patients with circadian rhythm sleep disorders2017
Author(s)
Hida A, Ohsawa Y, Kitamura S, Nakazaki K, Ayabe N, Motomura Y, Matsui K, Kobayashi M, Usui A, Inoue Y, Kusanagi H, Kamei Y, Mishima K
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Journal Title
Transl Psychiatry
Volume: 7(4)
Pages: e1106
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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