2016 Fiscal Year Research-status Report
日本版IPS/援助付き雇用フィデリティ尺度の検証とフィデリティ評価システムの構築
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16K21661
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山口 創生 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 社会復帰研究部, 室長 (20611924)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精神障害 / 就労支援 / フィデリティ尺度 / 援助付き雇用 / IPS |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の研究計画は、日本版個別型援助付き雇用フィデリティ尺度(Japanese version of individualized Supported Employment Fidelity scale: JiSEF)に関する1) 研究者の評価者と実践家の評価者における評価者間の信頼性を検証すること、そして2) 就労率や3ヵ月就労率(3ヵ月以上継続して働いた利用者の割合)、離職率などの就労アウトカムとフィデリティ得点の相関関係を検証することを目的とした調査を実施することであった。2016年度は、計画通り、17機関を対象にJiSEFを用いた調査を行なった。調査の結果、17機関におけるJiSEFの平均得点は89.9(SD = 11.8)であり、尺度全体の評価者間信頼性を示す級内相関は0.90(95%CI = 0.69 - 0.96)であった。就労率と3ヵ月就労とJiSEF度得点の相関は、それぞれr = 0.710(p = 0.001)とr = 0.679(p = 0.003)であった。他方、離職率とJiSEF得点の間に有意な関連はなかった。評価者間の信頼性を示す高い級内相関の値は、JiSEFが実践家の評価者においても利用できるツールであることを示唆している。また、JiSEF得点と就労アウトカムの有意な関連は、JiSEFの得点の高低が良い就労アウトカムを生み出す支援に関連していることを示していると考えられる。 2016年度は、JiSEFの予測的妥当性を検証するために、長期のフォローアップ研究を開始した。具体的には、17機関における2017年1月1日から6月30日までの利用者を2年間追跡し、その就労状況や入院状況を検証する予定であり、エントリーとベースライン調査を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の研究計画は、1) 15機関を目安に日本版個別型援助付き雇用フィデリティ尺度(Japanese version of individualized Supported Employment Fidelity scale: JiSEF)を用いた調査を実施すること, そして2) 予測的妥妥当性の検証のための新規利用者の個別調査を実施することであった。どちらも調査も計画通りに進めることができた。前者のフィデリティ調査に関しては、当初予定の15機関から2機関が増えた17機関が参加しており、予想以上のデータが集まったともいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのフィデリティ調査は、研究者の評価者と実践家の評価者がペアとなって機関を訪問し、調査を実施してきた。特に、インタビュー調査などは、研究者の評価者が主導権を持って進めてきた。2017年度は、10機関を目途にフィデリティ尺度を用いた調査を実施するが、実践家2名が評価者として参加し、研究者の評価者は参加しない。よって、実践家だけでのフィデリティ調査の実現可能性を検証することが第1の目的となる。 また、2017年1月から始めた新規利用者のフォローアップ調査を継続して実施する。
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Causes of Carryover |
2017年度のフィデリティ調査は、実践家の評価者のみによる調査となる。2016年度フィデリティ調査の経験から、申請者は実践家の評価者には調査前に研修を受講してもらう必要があると認識した。そこで、本年度は他の研究費と組み合わせて調査を実施したり、地域によっては同一期間に調査日程を組み、意図的に使用する研究費を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度から2017年度に繰り越しになる予算は、2017年8月中旬に行われる実践家の評価者の研修費にあてる。具体的には、就労支援に携わる実践家の中でフィデリティ調査の調査員になることを希望する者に、東京で開催する研修会に参加してもらう旅費とする予定である。
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Remarks |
本ウェブページは、当該研究費における研究の情報だけでなく、これまで当部が継続的に続けてきたIPS/日本版個別型援助付き雇用フィデリティ調査に関する知見も含まれます。
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Research Products
(2 results)