2016 Fiscal Year Research-status Report
マウス胎生期卵巣分化に関わる転写因子の機能同定と転写ネットワークの構築
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16K21664
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
加藤 朋子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 研究員 (10638802)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生殖腺 / 性分化 / 転写カスケード |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は機能が類似しており、互いがリダンダントに機能する可能性のある遺伝子(Irx3とIrx5、Rhox2aとRhox6)について同一染色体上で二つの遺伝子を同時に欠損させたダブルノックアウト(KO)マウスを作製し、表現型の解析を行った。Irx3/Irx5については3回のマイクロインジェクションを施し、27頭中6頭、24頭中7頭、21頭中3頭が多重KOマウスであることを確認した(Hara et al., J Reprod. and Dev., 2016)。Founder世代のKOマウスについて表現型解析を行ったところ、いずれも野性型マウスと比べて体長が小さく、中には多指症が見られる個体も存在した。これらの表現型についてはIrx3やIrx5のシングルKOでも報告されているものである。体長が小さいため、これらのKOマウスを次世代の交配に用いて妊性を確認できなかったが、卵巣の組織学的解析を行ったところ、正常な卵巣形成が進行していたため卵巣形成には影響を及ぼさないと考えられる。一方、Rhox2a/Rhox6については配列が非常に類似しており、gRNAも類似の配列箇所にしか設計できなかった。このため、PCR、シークエンス解析の段階で2遺伝子を区別することが不可能であったため、止む無く実験を中断することとした。また、雌雄生殖腺で発現する遺伝子の細胞種の同定を目的とした組織切片のin situ hybridizationを行うため、対象遺伝子に対するprobeの合成を完了した。来年度は引き続き条件検討を行っていく。コンディショナルノックアウトマウスについては生殖腺で特異的に発現するmicroRNA-202をプロモーターに用い、dicer KOマウスを作出し、現在、表現型解析を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重KOマウスやコンディショナルKOマウスの作出及び解析の大半を完了させることができた。また、in situ hybridizationに必要な試薬やprobeの整備を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Irx3/Irx5についてはF1世代以降で再度卵巣の組織学的解析を行い、表現型を確定させる。今年度は組織切片のin situ hybridizationの条件検討を行い、出来る限りの多くの遺伝子の細胞種の同定を完了させる。
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Causes of Carryover |
学会発表を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表を行い、物品費に充填する。
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