2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代水素ステーションに向けた液体水素冷熱を活用する熱化学水素昇圧材料の探索
Project/Area Number |
16K21672
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
遠藤 成輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 再生可能エネルギー研究センター, 研究員 (40611893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水素吸蔵合金 / 熱化学昇圧 / 水素ステーション / 燃料電池車 / ラーベス合金 / 液体水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では液体水素冷熱の活用を想定し、水素吸蔵合金をマイナス数十度の低温域から室温近傍までの昇温だけで、燃料電池車(FCV)へ水素を供給するための70MPa高水素圧を得ることを目的としている。本年度は以下の研究実績を得た。
・70MPa高水素圧の平衡放出圧を有する合金探索の目処 AB2型ラーベス合金Ti0.2Zr0.8Fe1.6V0.4の水素吸蔵放出圧力の温度依存性を調べ、本合金は60℃で40MPaの水素放出圧を示すことを見出した。70MPaまでには足りないが、ラーベス合金系は合金組成を微調整すれば水素吸放出圧を変化させることが可能なため、本合金組成をベースとして組成制御すれば70MPaを達成できると考えている。具体的には、Fe濃度を増加・V濃度を低下の方向へ制御することを想定している。なお本結果は、10MPa未満の水素圧で合金の水素吸蔵放出圧力を測定する汎用的水素特性評価装置(PCT装置)を用い、合金の水素圧温度依存性(van't Hoff plot)より見積もったものである。 ・90MPa対応高水素圧実験設備の整備 70MPaの高水素圧が得られているか、温度依存性からの予測ではなく実際に実験を行なって確かめる必要がある。そのため、所有している90MPa対応高水素圧実験設備で定量的に合金の水素放出量・圧力・流量を測定できるように既存設備中への測定機器の組込み等を実施し、次年度に向けての実験環境の整備を図った。これにより目処をつけた合金を用いた水素昇圧実験が行なえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一番課題と想定していた、70MPaの高水素圧を有する合金に目処を付けることが出来た。組成制御の方向性は得ているので、次年度は組成を微調整した合金の作製・評価からを進める。合金が70MPaの高水素圧を有するか否かは、まずPCT装置を用いて簡便に得られる合金の放出圧の温度依存性から見積もることとする。 90MPa対応高水素圧実験設備での実験環境は、本年度に温度・水素量・流量・圧力を定量評価できるように構築したので有望な合金が見いだされ次第実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
上述でも触れているが、組成を微調整した合金Ti0.2Zr0.8Fe1.6+xV0.4-xの水素吸蔵放出圧を測定する。 先ず、Ti0.2Zr0.8Fe1.6+xV0.4-x のxを0.1ずつ変えた合金を作製する。熱処理後、単相合金となっていることを確認し、水素吸放出特性を測定する。 PCT装置を用いた10MPa未満の低温実験(試料量3g程度)により、放出圧が室温近傍で水素放出が圧が70MPaと予測される合金組成を確定する。その後、90MPa対応高水素圧実験設備を用いた測定(試料量100g程度)により、70MPa水素放出を実証する。 平行して、PCT装置を用いて定温において吸蔵放出を繰返し、サイクル特性の加速試験も実施し、耐久性も評価することとする。
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Causes of Carryover |
合金探索のめどが当初予定したよりも早くにたったため、合金作製にかかる素材費および旅費の支出が抑えられたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では数十MPa高水素圧での実験が実施されるため、それに対応したバルブ・継手類の消耗品購入費に充てる予定である。 また、90MPa高水素圧実験設備では1回の試験に当初予定したよりも多くの試料量(数百g)が必要となるため、その試料費にも充てることを想定している。
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Research Products
(2 results)