2018 Fiscal Year Research-status Report
化学物質の有害性推論手法の確立に資する統計的手法の深化とその適用
Project/Area Number |
16K21674
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹下 潤一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60574390)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 化学物質 / 毒性予測 / リードアクロス / 統計的測定精度評価 / 質的データ / ラボ間比較試験 / ORDANOVA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は平成29年度に引き続き、統計的アプローチによる有害性推論手法の研究および、有害性評価・予測に資するスクリーニング試験方法の統計的測定精度評価に関する研究を行った。 有害性推論手法の研究については、リードアクロスと呼ばれる予測手法の枠組みを統計的に実現するための研究を行った。リードアクロスとは、カテゴリーアプローチなどの手法により、毒性試験未実施の物質の有害性を、毒性試験実施済み物質の有害性から推定して、データギャップを補完する手法である。現在までにOECDなどで枠組みは提案され重要性は理解されている枠組みであるものの、エキスパートジャッチに基づいた特定物質に関する一部のケーススタディを除いて既存研究は皆無である。そこで平成29年度までに整備済みのラット反復投与毒性試験データを用いて、6種類の肝毒性、腎毒性、血液毒性の8種類の有害性を対象として、k-近傍法をベースとした予測手法構築の方法論を提案した。本成果は現状では論文化できるほどの精度は達成していないが、既存研究が皆無であることなどから、学会等から講演を依頼された。 統計的測定精度評価に関する研究については、質的データに対する分散分析(ANOVA)であるORDANOVAについて研究を行った。ORDANOVAは2012年にGadrichとBashkanskyによって提案されているが、カテゴリー数が2の場合のみしか数学的には正しくないことがわかっている。そこで、ORDANOVAに付随する検定統計量を再定義することで、カテゴリー数が3以上の場合についても数学的にも正しく利用できる形に拡張した。本手法を用いて、カテゴリー数が5である実際のラボ間比較試験結果の解析も行った。本成果については、論文としてまとめ国際誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有害性推論手法の研究については、論文化まではいかなかったものの従来のQSARアプローチの研究から新たな枠組みであるリードアクロスアプローチに展開することができた。 統計的測定評価に関する研究については、平成29年度に国際誌に投稿した論文が採択、出版された。そして、研究自体は、ORDANOVAを数学的に正しいものに拡張することができた。さらに、この手法を用いて具体的なラボ間比較試験結果の解析も行い、その成果を論文とまとめ国際誌への論文投稿にまで至った。 以上から、本研究課題は「おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、投稿中の論文1報について査読コメントに対応し、受理されることを目指す。さらに、有害性推論手法の研究については、リードアクロスアプローチによる推論手法の予測精度を高め、成果を論文としてまとめ国際誌への投稿を目標とする。また、統計的測定精度評価に関する研究については、質的データの扱いについてORDANOVAの枠組みにとらわれず、質的データでのばらつきをどのように定量化すれば良いかを根本的なところから検討する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 少額の残が生じたため、翌年度に繰り越しをし次年度の研究費と合算して有効活用することとした。 (使用計画) 次年度の研究費も今年度に引き続き研究費の大半を、研究に必要な文献資料代、情報収集・研究成果発表・研究連絡に必要な旅費として使用する予定である。
|
-
-
[Journal Article] Application of ISO 5725 to evaluate measurement precision of distribution within the lung after intratracheal administration2018
Author(s)
Jun-ichi Takeshita, Junya Ono, Tomomichi Suzuki, Hirokazu Kano, Yutaka Oshima, Yasuo Morimoto, Hiroshi Takehara, Takamasa Numano, Katsuhide Fujita, Naohide Shinohara, Kazuhiro Yamamoto, Kazumasa Honda, Shoji Fukushima, and Masashi Gamo
-
Journal Title
Series on Advances in Mathematics for Applied Sciences: Volume 89. Advanced Mathematical and Computational Tools in Metrology and Testing Vol XI
Volume: -
Pages: 257-364
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-