2016 Fiscal Year Research-status Report
マルチ同位体分析による次世代型リチウム鉱床の成因と同位体分別に関する研究
Project/Area Number |
16K21682
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
荒岡 大輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (60738318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Li同位体 / Mg同位体 / ミシシッピバレー型鉱床 / Ca同位体 / 海底熱水 / U-Pb年代 / ジルコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当該研究課題を進める上で基礎となる、新しい同位体分析システムの開発を主に行った。具体的には、国内ではほとんど研究例のないMg安定同位体分析手法の立ち上げを当ラボにて行い、海水や生物源炭酸塩などの標準試料で±0.1‰ (2SD)以下での分析精度で正確な分析が行えることが確かめられた。トルコ・ホウ酸塩鉱床は現在治安上の観点からアクセスが困難であることから、代替としてブリテッシュコロンビア州のミシシッピバレー型鉱床に同手法を応用しているところである。また、Ca安定同位体分析手法の立ち上げにも精力的に取り組んでいるところである。さらに、共同研究者と協力してイオンクロマトグラフィーとフラクションコレクターを組み合わせたオフライン型のマルチ元素分離装置の開発を進めており、Li、Mgなどの同位体を簡便かつ迅速に分離できる手法を開発中である。Li同位体については、高温での水ー岩石反応時における同位体挙動を理解するため、島弧・背弧域での海底熱水を対象に体系的な同位体データを報告し、結果を国際誌に報告した(Araoka et al. 2016, Geochemistry Geophysics Geosystems)。 鉱床において放射年代法により鉱化年代を明らかにするため、SHRIMPによるジルコンのU-Pb年代測定手法の立ち上げを当ラボにて行った。ジルコン標準試料(R33、OG1など)の分析を実際に行い、正確な分析が行えていることを確かめ、その結果を国内誌に報告した(荒岡ほか 2016, 地質調査研究報告)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標としていた同位体分析システムの立ち上げは概ね達成されたため、次年度以降実際の鉱床への応用へ進めることが可能である。また、トルコの鉱床は政情不安もありアクセスが難しいが、代替案としてブリテッシュコロンビア州の鉱床を対象に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度立ち上げを行った同位体分析システムや放射年代分析を用いて、実際の鉱床に応用し、鉱床成因と同位体分別に関する研究を進めて行く予定である。また、さらなる同位体分析手法の簡便化や高精度化も合わせて実施していく。
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Causes of Carryover |
研究を実施する予定だったトルコ国の鉱床について、治安上の問題からアクセスできず、旅費分の支出が大幅に少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
別の地域の鉱床をターゲットにしつつ、さらに同位体分析システムの高度化も合わせて実施するため、旅費と実験室用消耗品に使用する。また、経年劣化による分析機器の修理・改修代にも予算を充てる。
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Research Products
(4 results)