2017 Fiscal Year Research-status Report
視聴覚モダリティにまたがる多次元的恐怖記憶形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K21687
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
小泉 愛 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (60588953)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 恐怖 / 知覚 / 7T fMRI / 皮質層 / モダリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オランダ・マーストリヒト大学との共同研究として高解像度7T-fMRIによる脳計測を実施し、恐怖と関わると学習されている視覚刺激の処理メカニズムを、視覚野の皮質層構造に迫りながら検証した。本研究では12名の被験者に対して実験を実施し、マーストリヒト大学で習得したノウハウに即して7Tの脳画像データを解析し、非常に高精度の画像プリプロセス等を経て、視覚野の皮質層ごとの振る舞いを検討した。この際、オランダ・マーストリヒト大学の共同研究者から学んだノウハウを踏まえ、7Tの強い磁場による脳画像の空間的な歪みを補正するなど、最新かつ高度な画像補正を十記すことで、1ミリ以下の空間解像度で視覚野の活動を捉えることに成功した。とりわけ、恐怖と関連する刺激が目の前に現れることを予測する予期信号が、皮質下構造と視覚野の相互作用を促進し、視覚処理を促進することを明らかにした。また、恐怖と関連しないが顕著性の高い視覚刺激を用いたコントロール実験も実施し、本研究の結果が、顕著な刺激の処理全般に見られるものではなく、恐怖刺激の処理に固有な結果であることを示した。この成果は、現在は国際論文に原稿を投稿中である他、Social Affective Neuroscience Society国際学会で発表賞を受賞している。なお、本研究のデータは被験者を個人の特定のできないIDで管理し、個人を特定できない形で発表するなど、被験者の個人情報・プライバシー保護にも十分に配慮した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当初予定していたよりもより高解像度で最先端の7TfMRI脳計測技術を取り入れており、研究成果も論文化する準備が進んでいることから、概ね順調に進展していると評価できる。しかしながら、7TfMRI脳計測は当初予定しておらず、その解析の難易度が高かったために、結果として研究のクオリティーは高められた一方、研究計画遂行の進行に遅延が長じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はこれまで7TfMRI脳計測で得られた成果を踏まえ、平成30年度は、これまでの実施内容とは異なるタイプの視覚刺激を対象としたさらに精緻な検証を行い、より汎化可能性の高い確信のもてる知見を構築することで、本研究計画を完了する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究のこれまでの実施過程では、連携先の研究設備の一部を借りて実験を実施することが可能であったために一部の購入予定物品の購入を延期したために次年度使用額が発生したが、平成30年度は、その額を充ててそうした設備を購入した上でさらに研究を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)