2016 Fiscal Year Research-status Report
肢位の違いが腱振動刺激による運動錯覚に与える影響の解明
Project/Area Number |
16K21693
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
大島 浩幸 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第三部生活技術開発セクター, 研究員 (20751126)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 運動錯覚 / 腱振動刺激 / 知覚運動協応 / 知覚運動学習 / 感覚運動変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,腱振動刺激により生じる運動錯覚現象の自在な制御を可能にするために,振動刺激条件と運動錯覚現象の関係を体系化することを目的とする.人間は現実に運動しなくても,腱に機械的振動刺激を与えることで,一人称的に運動した感覚を知覚することが知られている.この知覚運動特性に基づく運動学習手法が確立できれば,従来の試行錯誤的な運動学習から脱却できる可能性がある.しかしながら,現状では腱振動刺激に対する運動錯覚現象の詳細な知覚特性が解明されていないため,提示される運動感覚を自在に制御することが難しく,実用的な運動感覚提示手法の確立に至っていない. 初年度である本年度は,振動刺激の周波数と振幅という各種パラメータを定量的に制御可能な小型腱振動刺激提示装置の開発を行い,その装置の振動特性の検証を行った.また,従来研究における振幅の定量化手法の問題点を見出し,その検証も行った.従来研究では,振動時の実測値ではなく加振機の無負荷時の振動特性を振幅としていたが,振動子が腱に押しつけられることで生じる負荷により無負荷時と比べて振動特性に変化が生じる可能性がある.この点を実験的に検討し,従来手法とは異なる振幅の定量化手法を確立する必要性を明らかにした.この結果に基づき,この従来研究の問題点を解決する手法を提案し,その妥当性を検証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,小型腱振動刺激提示装置に関して実験的に諸知見を得ることができた.当初は小型加振機を自作する予定であったが,本研究推進に有用である可能性の高い既製品の小型加振機の情報を得た.両者の長短所やシステム変更工程の比較検討を行った結果,後者を提示装置の核となる加振機として採用した.この加振機の機械的振動特性の実験的検討および小型腱振動刺激提示装置の基本仕様の検討に基づいて,次年度以降の被験者実験の実験系や実験プロトコルの策定を進めた.以上から,おおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き,小型腱振動刺激提示装置の基本仕様を定量化しながら,実験系の改良を推進する.加えて,研究遂行の中盤から主となる腱振動刺激に対する人間の運動錯覚特性を解明するための基礎実験を開始する.これらの研究成果を国内外の学会等で積極的に発表する.
|
Causes of Carryover |
ワークステーションおよびソフトウェアの購入をH29年度以降に延期し,小型腱振動刺激提示装置の加振部の確立を優先したため次年度使用額が生じた.加えて,小型腱振動刺激提示装置に付随する刺激提示部の関節の肢位を定量的に制御可能なアームレスト部の開発を,全体の進捗を考慮して次年度以降に延期したため次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
肢位の定量的な制御を可能にするアームレスト部の開発を行いながら,小型腱振動刺激提示装置の改良を進める.
|