2017 Fiscal Year Research-status Report
小動物による補助人工心臓モデルの循環システムの構築と心機能解析
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16K21708
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
竹下 大輔 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (60761020)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 補助人工心臓 / PVloop / PVA |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】近年,植込み型左心補助人工心臓(LVAD)の適用拡大としてDT (Destination Therapy) 目的の治験が行われ始めている.日本では,移植待機期間が年々長期化しており,DTの影響についての研究が不可欠である.大型動物を用いた研究は,デバイスの価格や大掛りな手術が必要である為,簡単には行えない現状がある.マウス・ラット等の小動物においては,遺伝子改変や投薬,手術による不全心モデルが容易に作られてきており機序の解明が行われている.小動物で実験を行い,相互に検討する事により研究がより進んでいけると考えられる. 【目的】LVADが左心室に与える影響を力学的エネルギー学的観点から明らかにする為に,小動物のラット生体位心を用いたLVADモデルを構築する. 【結果】H29年度は,開胸したラットを用いて,LVADモデルの作成を行った.最大血圧が50 mmHg以下に低下した状態の心臓に,LVAD補助を段階的に行う事により,段階的なAoP上昇とESP低下・SV減少を示した. また,収縮期末圧容積関係(ESPVR)は,上方にシフトし,一心拍あたりの総機械的エネルギー(PVAmlvv)は,減少した. 【考察】段階的に補助流量を変化させると,PVAmlvvが減少する.これは,心臓が使うエネルギーが減少している事を表している.また,ESPVRが上方にシフトする事は,心機能が亢進している事を表しており,LVADによる心補助効果を表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
LVADによる,心補助のさいには,ほぼ100%のフルバイパスで行われる事が多い.ラットの場合,循環血液は,30~60 mL/min であり,一回心拍出量は,100μmLである.現在使っているペルスタポンプでは,最大20 ml/minまでしか流量を確保できず,また,強烈な陰圧が発生するため,左心室から,血液を定常的に抜くことが難しい現状がある. その為,早いうちから,新しいポンプの選定を行ったが,今現在必要なポンプが存在しない事が判明し,業者に図面から作ってもらう事になり,計画が大幅に遅れてしまった.計画年度を一年延長して進める事になった.
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Strategy for Future Research Activity |
LVAD用のポンプを新たに作る事で計画に遅れが生じているが,ポンプ以外の手術技術においては,安定して,行えているため,ポンプができ次第すぐに計画通りの実験が行える状況である.
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Causes of Carryover |
実験遂行には,設計段階から機器を作って貰う必要性が生じ,計画当初にあった期間では,製作を行うのに時間が足りず,次年度に持ち越しとなったため当該助成金が生じた.
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