2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding of reproductive physiological characteristics reflecting reproductive status in large elasmobranchs
Project/Area Number |
16K21717
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Research Institution | Okinawa Churashima Foundation |
Principal Investigator |
野津 了 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, その他 (70774397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大型板鰓類 / 飼育下繁殖 / 性ステロイドホルモン / ビテロジェニン / 超音波画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、飼育下における成熟した雌オオテンジクザメの卵胞サイズの周年変化および、血中の性ホルモン量の周年変動を明らかにすることができた。複数の妊娠個体が確認され、妊娠個体と非妊娠個体で性ホルモンの変動パターンを比較することができた。その結果、オオテンジクザメは妊娠如何を問わず性ホルモンは類似した変動パターンを示すことが明らかとなった。4月まで低値で推移していた血中のエストラジオール17βとテストステロン濃度は5~6月に掛けて上昇し、10月に向けて徐々に減少していた。また、本年度には、一度も排卵を行わなかったと思われる個体が1個体存在し(卵胞サイズは他個体と遜色なし)、その個体の血中性ホルモン濃度は周年に渡って低値から変動が認められなかった。これらの結果から性ホルモンが排卵に影響を及ぼしている可能性が考えられた。 研究期間を通して、飼育下における雌トラフザメの繁殖周期を明らかにした。併せて、血中の性ホルモンの変動パンターンを明らかにし、各生殖状態と比較することができた。その結果、血中の性ホルモンの変動が卵胞発達の予測指標や産卵期の指標となる可能性が示された。 加えて、公開されている軟骨魚類のゲノム配列を参照し、ビテロジェニン(Vg)の共通のアミノ酸配列部分を抗原としVg抗体を作製した。雌トラフザメの血中Vg量の相対的な季節変化をウェスタンブロンティング法により調べた結果、発達した卵胞維持されている4月はシグナル強度が強く、卵胞が退縮した直後の8月にはそのシグナルはほぼ消失した。以上のことから血中Vg量は卵胞サイズを反映している可能性が示唆された。 以上得られた成果は、これまで判断が難しいとされていた雌の大型板鰓類の生殖状態を評価する指標になると考えられ、今後、板鰓類の飼育下繁殖の効率化を目指していく上で重要な情報になると期待される。
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Research Products
(4 results)