2020 Fiscal Year Research-status Report
新たな視点からの産業組織論分析 : 「ヒト」に光をあてる
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16K21741
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森田 穂高 一橋大学, 経済研究所, 教授
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 企業間競争 / 企業の理論 / 内部労働市場 / 人的資本 / 実験分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
産業組織論の主要テーマである企業間競争と企業の境界に関して、新たな視点から分析することが本研究の課題である。令和2年度は、新型コロナの影響による遅れが避けられなかったものの、目的達成に向けての分析が進み, 成果の取りまとめが進んだ。森田(研究代表者)は、佐藤(研究分担者)と共同で製品市場と労働市場の相互連関分析に関し、Logitモデルを用いて均衡・社会厚生に与える影響などの詳細分析を推進、企業の部分的結合への応用を進めるとともに、Ghosh(UNSW Sydney), Wang(Monash Univ.)と共同で合併に関して垂直的企業関係との関連で新たな視点を提示する論文を国際学術誌掲載に漕ぎ着けた。森田がTang(研究分担者)と共同で進める労働市場での企業間競争に資産の企業特殊性および経営者の経営能力を取り入れた理論モデル分析に関し、資産への投資と不確実性の実現タイミングの相互連関を明示的に分析することで新たな含意が得られることが明らかとなった。森田はServátka(Macquarie Univ.), Zhang(Macquarie Univ.)と共同で、アイデンティティが企業組織において果たす役割に関する実験分析について企業内昇進構造に関する分析をほぼ完成させた。森田がNguyen(Deakin Univ.)と共同で進める海外直接投資と品質を向上させるような技術伝播との関係に関する論文は国際学術誌から改訂要求を受けて再投稿に向けた細部の分析が進んだ。また、移転価格を用いた低税率国への利潤移転の国際寡占モデルを用いた分析が石川(研究分担者)を中心にすすみ、国際学術誌に掲載された。帝国データバンクと共同して作成したワークライフバランスに関するデータセットの分析は神林(研究分担者)を中心に推進された。また、企業活動基本調査と厚生労働省賃金構造基本統計調査のマッチングデータを用いた企業間賃金格差とワークライフバランス施策との関連については、海外招聘研究者が来日できなかった関係での遅れがあったものの、神林を中心に考察が進んだ。また、小谷(研究分担者)は森田と連携しつつ、職場での従業員の創造性測定に関する予備調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者と研究分担者が協力しつつ、各自の担当分野において、研究分析を進めるとともに、成果物の国際学術誌への投稿・掲載が産業組織論、労働経済学、国際経済学関連の雑誌などにおいて、かなりの程度に進んだ。しかし、新型コロナウイルス拡散の影響により、海外からの研究者招聘による研究推進、海外研究機関を訪問しての経済実験を含む共同研究推進および成果物の論文としての書き込みと完成にやや遅れが生じることは避けられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
製品市場と労働市場の相互連関分析に関しては、Logitモデルを用いて均衡・社会厚生に与える影響の分析、企業の部分的結合への応用だけでなく、企業の合併・競争企業間の連携への応用をも完成させる。分析と応用の完成にあたっては令和元年度に実現できなかったGhoshのニューサウスウェールズ大学からの招聘を実現させる。また、結果を論文として書き込んで国際学術誌に投稿するに際し、内部労働市場分析と産業組織論分析に知見の深いコーネル大学のWaldman教授を招聘(令和元年度は実現せず)して意見を伺い指導を乞う。公平感と企業の境界との関連に関して、ServátkaとZhangをマッコーリー大学から招聘(令和元年度は実現せず)し、小谷と連携しつつ実験分析を進める一方、Hongi Li(UNSW Sydney)を招聘して理論面での意見を伺う。また、小谷は森田と連携しつつ、職場での従業員の創造性測定に関する本調査を行ない結果を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス拡散の影響で、森田が豪州諸大学を訪問しての研究推進、およびGhosh, Servátka, Zhang, Liを一橋大学経済研究所に招聘しての理論分析および実験推進、さらにWaldmanを招聘しての研究取りまとめに関する議論が令和3年度にずれこんだこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
森田の豪州諸大学の訪問に加え、Ghosh教授の招聘により製品市場と労働市場の相互連関に関する分析・応用を完成させ、また、Servátka, Zhang, Li各教授を招聘し, 企業組織内における公平感に関する分析を行う. Waldman教授を招聘し, 研究結果を踏まえた論文の仕上げに際する意見を伺い指導を乞う。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] The firm-level link between productivity dispersion and wage inequality : A symptom of low job mobility?2021
Author(s)
Chiara Criscuolo, Alexander Hijzen, Michael Koelle, Cyrille Schwellnus, Erling Barth, Wen-Hao Chen, Richard Fabling, Priscilla Fialho, Alfred Garloff, Katharzyna Grabska, Ryo Kambayashi, Valerie Lankester, Balazs Stadler, Oskar Nordstrom Skans, Satu Nurmi, Balazs Murakozy, Richard Upward and Wouter Zwysen
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Journal Title
OECD Economics Department Working Papers
Volume: 1656
Pages: 1-45
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Workforce Composition, Productivity and Pay : The Role of Firms in Wage Inequality2020
Author(s)
Chiara Criscuolo, Alexander Hijzen, Cyrille Schwellnus, Erling Barth, Wen-Hao Chen, Richard Fabling, Priscilla Fialho, Balazs Stadler, Richard Upward, Wouter Zwysen, Katarzyna Grabska-Romagosa, Timo Leidecker, Ryo Kambayashi, Oskar Nordstrom Skans, Capucine Riom and Duncan Roth
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Journal Title
OECD Economics Department Working Papers
Volume: 1603
Pages: 1-45
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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