2017 Fiscal Year Research-status Report
銀行の預金需要、貸し出し供給と金融恐慌との関係のミクロ実証研究
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16K21742
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今井 晋 北海道大学, 経済学研究院, 教授
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 銀行預金 / 銀行貸出 / 構造推定 / 費用のデータ / 操作変数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Byrne, Imai, Jain, Sarafidis, Hirukawa(2016)論文を完成させ、Journal of Econometricsに投稿した結果、Revise and Resubmitの判定を得た。Journal of Eonometricsは計量経済学の分野においてはWorld Top Journalである。現在、論文のReviseを行っており、銀行のデータを用いた簡単な実証研究を行う部分以外はほぼReviseを終了した。あと2-3ヶ月でReviseを終了し、Journal of Econometricsに再提出する予定である。 Reviseした論文では、Editor、そしてRefereeによって指摘された論文の主要な欠点を克服した。つまり、寡占企業の推定問題の既存研究においては、ある製品の市場規模、つまり潜在的需要がうまく推定できないという問題に直面している。そのような場合、既存研究の手法では、現実的な市場規模、または潜在的需要が特定化できないので、非購買を含めたマーケットシェアがデータとして特定化できないこととなる。従って、現在主流となっているマーケットシェァのデータに基づく需要推定が正確には行われないことが指摘されている。既存研究では、やむを得ず潜在的な需要はある市場における全人口であると仮定するが、それはかなり非現実的である。我々の論文では、Bresnahan-Reiss(1990)に使われている、市場規模に関する比較的弱い仮定をさらに弱くした仮定の下でも、製品の市場規模(または潜在的需要〉を推定できることを示した。さらに、BLP需要関数のパラメータのIdentificationに関する定理を証明する際に、初稿に比べて必要とする仮定を少なくすることができた。 これらの研究成果の結果、Resubmitする論文は、初稿よりもはるかに質の良いものになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Byrne, Imai, Jain, Sarafidis, Hirukawa論文を完成させ、Journal of Econometricsに投稿した結果、Revise and Resubmitの判定を得た。現在、論文のReviseを行っており、銀行のデータを用いた簡単な実証研究を行う部分以外はほぼReviseを終了した。あと2-3ヶ月でReviseを終了し、Journal of Econometricsに再提出する予定である。 さらに、米国連邦預金保険機構のウェブサイトから, 2000年から2015年までの銀行のマイクロデータを取得し、それを整理する。さらに簡単な記述統計、回帰分析、そして操作変数を使った推定を行った。しかし、これらのマイクロデータには銀行預金、貸し出し行動を同時に決定するモデルの構造推定に必要となる支店レベルの銀行貸し出しデータはない。よって、米連銀に問い合わせる等のさらなるデータ獲得努力を行う必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度夏にByrne, Imai, Jain, Sarafidis, Hirukawa(2017)論文のRevise、そしてJournal of EconometricsへのResubmissionを終了する。それから、Reviseを行う際に得られた洞察をもとに、推定手法をさらに発展させる研究を始める。米連銀に問い合わせて、支店レベルの銀行貸し出しデータを入手し、銀行の預金と貸し出し行動の同時決定モデルの構造推定を行う。
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Causes of Carryover |
コンピュータ、そしてソフトウェア購入を北海道大学スタートアップ研究費から賄うことができた。また、当初ここ内の計量経済学、産業組織論、そして金融論の専門家に会い、意見交換を行う費用を計上したが、彼らのいる東京、関西の大学からセミナーを依頼され、招待されたので、それらの費用を科学研究費から支出する必要性がなくなった。また、平成29年度、ヨーロッパでの学会に参加する途中でロンドンにいる共著者に会う予定であったが、日程が北大での大学院試験・試験監督業務と重なったので、中止した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
支店レベルの銀行貸し出しデータを入手し、それを加工するための費用、そして米国連銀の研究者に連絡し、訪問する必要が生じた場合の費用として使用する。
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Research Products
(5 results)