2019 Fiscal Year Annual Research Report
銀行の預金需要、貸出供給と金融恐慌との関係のミクロ実証研究
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16K21742
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Principal Investigator |
今井 晋 北海道大学, 経済学研究院, 教授
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 費用のデータ / 操作変数 / 需要関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、今井らが新たに考案した操作変数を用いない需要、供給関数の推定法(Byrne et. al. (2017)参照)を完成、そしてさらに発展させ、従来の方法より制約が少ない形での市場規模の推定法を開発した。さらに、ロジット型需要関数の識別の分析では不可能であったが、ランダム変数ロジット型(BLP型)の需要関数においては規模が異なる市場の存在がなくても需要関数が推定可能であることを示すことができた。よって、ランダム変数ロジット型であれば、市場規模のヴァリエーションがあまりない製品でも需要関数が推定可能になる。 さらに、本研究ではランダム変数ロジット型需要関数を用いて、アメリカの金融機関の預金需要関数を推定した。その結果、単純なロジットモデルを用いての推定結果よりも、預金の利子に対する弾力性がはるかに大きく、寡占企業の利潤最大化と整合的な値に推定された。 今までの研究で得られた結果は、論文“操作変数を使わない需要関数の推定法”として現在経済学の潮流2019に出版され、さらに計量経済学の専門誌であるJournal of Econometricsに投稿した論文“Identification and estimation of differentiated products models with cost date”のRevise and Resubmitを昨年度Resubmitし、その結果を待っている状態である。 また、これまでの結果をさらに発展させるため、2020年度からも引き続き研究を継続するために科研を申請し、採択された。今後は、1. 操作変数を用いなくても需要関数の推定ができることは需要関数の関数型に依存するものではないことを証明する、2. 市場規模の推定方法をさらに発展させ、ある企業が競争している市場の範囲の推定法を開発することを引き続き研究の課題とする。
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Research Products
(5 results)