2019 Fiscal Year Research-status Report
染色体自身が制御する分裂期の分子機構と、その機能破綻による疾患誘導機序の解明
Project/Area Number |
16K21749
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Research Institution | ID Pharma |
Principal Investigator |
横山 英樹 株式会社IDファーマ, その他部局等, 室長
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 細胞骨格・運動 / 分裂期 / 紡錘体 / 染色体分配 / 疾患誘導機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
同定した200タンパク質の内6遺伝子(SART1、Cul2、他4つ)を、HeLa細胞からRNAi法でそれぞれノックダウンし、全てが分裂期に異常を示すことを明らかにした。それぞれの異常の違いを明らかにし定量化、Cul2のノックダウンにおいては紡錘体に使われる微小管量が減少することを発見した。サイズが小さい4遺伝子(SART1、Cul2、他2つ)については、センダイウイルスベクターに搭載して細胞でタンパク質を発現。それぞれノックダウンによる異常を改善でき、詳細な分子機能を解析する動機付けとなった。 SART1については、組換え蛋白質を用いてそれが微小管に直接結合することを明らかにできた。SART1は細胞内で紡錘体極に局在すること、微小管を脱重合すると局在しなくなることを見つけた。紡錘体極への局在と一致して、細胞からSART1を除くとPCM1など複数の中心体タンパク質が中心体に集積できなくなり、微小管の安定性を示すアセチル化も顕著に減少。さらに複数の正常、がん由来細胞株からSART1を除いたところ、がん細胞で特に紡錘体形成異常と細胞死が誘導されることを発見。SART1の直接の分子機能を明らかにするために免疫沈降を実施、ある中心体蛋白質を同定でき、現在この蛋白質との機能的関連性を調べている。総じて、SART1に関する論文を投稿する準備がほぼ整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極めて少人数での研究であったが、上記の様な発見をすることができた。同定した約200のタンパク質群が、分裂期の未知の分子機構を解明する極めて優れたリソースとなることを新ためて確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
SART1に関する論文をなるべく早く投稿する。査読者の要求に応え論文を受理に導くには、必要に応じて外部専門家と共同研究する必要があり、国際共同研究加速基金の趣旨に従い行う。複数の有望蛋白質を並行して解析するため、研究協力者を求める。
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Causes of Carryover |
本研究に専念できる研究協力者を確保できなかった。補助事業期間の一年延長を申請する計画である。
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