2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Experimental Archaeology on Prehistoric Materials by the Knowledge Accumulated for 80 years in Russia(Fostering Joint International Research)
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16KK0020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿又 喜隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (60343026)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 痕跡学 / ロシア / 骨角器 / 磨製石器 / 打製石器 / 実験考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
極東連邦大学では、後期旧石器時代終末の細石刃石器群とパレオメタル期の打製・磨製石器の使用痕分析を実施した。両時代とも総合的な使用痕分析の実施事例が殆ど無く、貴重な成果となった。また、極東の珪質岩を利用した打製石器の使用実験を行った。これまで基礎実験データが公表されていかったため、重要な成果となった。 ロシア科学アカデミーシベリア支部では、極東やザバイカル地方の旧石器時代の石器や骨角器、装身具の痕跡学的分析を実施した。高倍率法を用いた研究成果が無い現状であり、特に後期旧石器時代初頭の複雑な石器製作や道具の使用、装身具の利用は、ホモサピエンスの登場の歴史的意義を示すものである。特に、骨角製ポイントの特徴的な使用痕を検出したこと、装身具ではビーズとペンダントでは異なる使用痕が残ることを確認できたことは、代表的な成果である。ザバイカルのハーテック遺跡には現地を訪れ、地元に収蔵される資料を分析すると共に、発掘調査にも参加した。 E.ギリヤ氏とはエカテリンブルグの研究機関や西シベリアのフィールドで、実験考古学の実践と、中石器時代の石器使用痕分析を実施した。当該資料の調査成果や資料内容は、まだ十分に公表されていない。分析対象遺跡は、当該地域で最古の人類活動の痕跡であり、タイガとツンドラ植生に進出した最初の人類の活動を復元できる点で大きな意義がある。小規模な竪穴住居を伴い、動物遺体を含む明確な活動痕跡がまとまって検出されており、詳細な人類活動を追うことができる。 実験研究では、骨と角の基礎実験を追加した。並行して宮城県北小松遺跡出土の骨角器の分析を行い、本学の分析機器を用いた詳細な比較検討を行った。これによって、縄文時代晩期の特徴的な骨角器製作技法「横キザミ縦ケズリ技法」を明らかにできた。また、本学の角二山遺跡の発掘にノボシビルスク国立大学の学生2名が参加し、共同調査が実施できた。
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Research Products
(12 results)