2016 Fiscal Year Research-status Report
スポーツにおける超短潜時状況下での予測能力の診断・処方システムの開発(国際共同研究強化)
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16KK0031
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
中本 浩揮 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (10423732)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 知覚 / 予測 / 視線行動 / 知覚トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツにおける優れたパフォーマンス発揮には,高い身体能力(筋力や持久力:末梢機能)に加え,高い情報処理能力(情報収集,状況判断,予測,運動命令の企画・修正:中枢機能)が必要である.特に,野球や卓球など超短潜時で行われるスポーツでは,予測能力が重要な情報処理能力として注目されてきた. これまでの打球運動に関する予測研究では,熟練打者と未熟練打者の明確な違いとして,高い運動観察力(相手の動作のわずかな違いを見分けることで,将来起こり得る事象を正確に予測する能力)および飛球に対する視線行動(予測的サッカード)の違いが明らかにされてきた.一方で,その有益な知見を現場に活かすまでには至っていないという現状がある.そこで,本国際共同研究では,予測能力に焦点をあて,【A】バーチャルリアリティ(VR)環境における熟練者の予測的視線行動の分析,【B】運動シミュレーションに基づく予測能力の評価方法の確立(診断),【C】予測能力を促進するトレーニングメソッドの確立(処方)を行うとともに,【D】それらを統合した予測能力の診断・処方システムの開発を行う. この目的を達成するために,本年度は,打球場面を再現したVRおよびVR下で視線解析できる環境の構築に取り組んだ.VRで実験する前段階として,オランダのプロ野球選手を対象に,打撃中の投手に対する視線行動を調査した.また,熟練打者の視線行動を打者に4週間学習させ,その前後での視線行動および打撃パフォーマンスの変化について分析した.その結果,視線行動の矯正が打撃パフォーマンスの向上に有益である可能性が示された.今後は,VR環境を構築し,VR環境と現実場面での視線行動の相違,VR環境(環境を自由に操作できる)を活かした新たなトレーニング方法の開発を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本助成による研究は開始したばかりではあるが,本年度は来年度以降に予定しているVR環境下で視線計測の妥当性を検討するために,実環境での視線計測データを取得できた.また,予測能力に焦点をあてた実験の実施,および診断・処方システムの開発の基礎となるVR環境が概ね完成した.そのため,評価をおおむね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,構築したVR環境の妥当性の評価として,VR環境と実環境での視線行動の評価, VR環境下における打球運動時の熟練者の視線行動の計測を行う.また,国際共同研究者であるDavid Mann氏の研究知見に基づき,予測的視線行動を促進する新たなトレーニング方法をVR環境で構築し,その有効性について調査する予定である.
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