2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creating a resettlement framework towards resilient rebuilding(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
16KK0048
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 復興政策 / 復興ガバナンス / ハリケーンサンディ / Big U |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、前年度の米国滞在中に収集した、Big U事業の事業化の過程とその過程への住民の関与について整理を進めた。住民参加を通して事業に対するコンセンサスを得ていても、事業実施主体のニューヨーク市の計画局からデザイン・建設局へと変更になったガバナンスの変遷や技術的理由によって、住民との取り決めの変更が余儀なくされていることが明らかになった。さらに、この変更への住民の対応を把握するため、対象コミュニティ(CB3・CB6)の集会に参加し、情報収集を継続した。なお、Big U事業の一部を構成するEast Side Coastal Resiliency (ESCR)のアクションプランは、2020年1月に連邦政府(住宅・都市開発局(HUD))に承認され実施段階に移行した。
共同研究者とは、昨年度までに構築した、ニューヨークにおける復興ガバナンスと住民参加の実態(復興組織・役割・利害関係者等)に関する分析枠組みに基づいて、本年度は国際比較の方法を構築し、インドネシア、フィリピン、日本の各地で災害からの復興時の移転に関するガバナンスについて検証を行った。その結果、移転対象となるコミュニティが中心となって、計画から実施に至る過程の判断に関わることがより住民の高い満足度につながっていることが明らかになった。住民がインセンティブを持つことによって、移転計画の実施過程だけではなく、復興後の地域づくりにも継続的に参加することも分かってきた。また、移転の制度や実施過程は、地域の文化に影響を受けている場合が多く、それを考慮した事業の実施が不可欠であることを確認した。
本研究の結果は、共同研究者との共著論文として発表した。また、この本成果の一部を、コロンビア大学地球研究所で開催された学会で発表を行った。
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Research Products
(3 results)