2017 Fiscal Year Research-status Report
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16KK0054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安達 貴教 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (50515153)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 垂直構造 / 構造推定 / 産業組織 / 競争政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常、物流過程においては、原料からの生産から始まって最終消費者の手に渡るまでの一連のプロセスを同企業が行うことは稀であり、幾つかの企業によって分担されて担われている。このような垂直構造がどのように組織されているかを理解することは、競争政策の基礎的部分と関わっている。また、幾つかの層が関係して流通プロセスが構成されているという枠組みの部分においては、従来の垂直的物流のみならず、インターネット取引などに顕著な特徴である「市場の二面性」の問題を考えてゆく上でも有益な視点を提供している。以上の問題意識を念頭に、本研究においては、実データを用いながら、構造的な分析を行うことによって、垂直的合併を中心とした諸問題に検討を加えることを中心的課題としている。 平成29年度においては、垂直的合併の評価に関わる、予備的な実証結果を中心にまとめ、中間的報告が幾つかの学会で報告された。より具体的には、従来の理論や実証分析においては注目されてこなかったが、現実的には十分に起こり得て、また、競争当局も関心を持つ以下の二点を中心として分析を行っていることである。即ち、(1) 「組織の失敗」といった原因により、垂直統合が必ずしも、内部組織の効率性促進に必ずしも結びつかない場合があること、(2) 垂直統合がきっかけで、産業全体で価格低下の競争圧力が弱まってしまうこと、の二点である。前者に関しては、経営学的なアプローチにおいては「組織の失敗」は分析されることが多いが、企業の経営戦略の(事後的)失敗の帰結に、さほど関心を示さない経済学的アプローチにおいては、その経済厚生への影響に関してはほとんど研究の蓄積が無い。また、第二の点に関しても同様に、理論的研究、実証的研究共に、少数の研究しか存在していない。以上のように、平成29年度においては、次年度以降の研究を進展させてゆくための布石を固めることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」でも述べたように、平成29年度においては、前年度に行っていた基礎的なデータ整備作業を踏まえた上で、誘導形の分析によって、上記の二点のように、従来の研究では分析が不十分であった点を絞り込むことが出来た。また、同時に並行して、構造モデルにおける需要関数のパラメータの推定も行い、こちらも妥当と考えられる予備的な結果を得ている。また、上述ののように、中間的な研究報告を幾つかの学会で行うことによって、参加者からのフィードバックを反映させる形で、改稿作業を継続させており、平成30年度中における取り纏めに向けて、準備を進めている。以上の諸点から、現時点における本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の「現在までの進捗状況」を踏まえ、平成30年度においては、供給側のモデルの構造パラメータの推定作業を中心に行う。既に、平成29年度から推定プログラムの作成などの準備作業を行っていたが、本年度においては、実際の推定値を得て、更にそれを前提として、反実仮想的な状況の検討によって、垂直合併の厚生効果の実証的検討を行い、取りまとめを行う予定である。なお、上記「研究実績の概要」の冒頭で述べたように、垂直的構造の研究は、通常の物流家庭のみならず、近年、経済活動において重みを増しているインターネット取引の文脈にも当てはまり、本研究で中心としている垂直的関係における交渉モデルが応用可能であることが、研究の進展によって明らかになってきた。これを踏まえ、平成29年度の後半部分からは、「両面市場におけるプラットフォームとコンテンツプロヴァイダーの交渉」に焦点を当てて、構造的な分析を開始したところであり、この点についても進展を図りたい。
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