2016 Fiscal Year Research-status Report
政治過程を考慮した景気刺激策としての公共投資の経済効果に関する理論・計量分析(国際共同研究強化)
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16KK0057
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮崎 智視 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (20410673)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 公共投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,2017年度の渡航に向け,Amihai Glazer教授のほか,同じdepartmentのメンバーであるJan Brueckner教授やLinda Cohen教授たちと頻繁に話し合いの場を持った. 次に,政治要因により決定された自治体の公共投資が景気変動に与える影響についての研究を行った.自治体の公共投資の指標としては普通建設事業費を用い,背景にある政治的要因としては,利益誘導政治と中位投票者の影響を第1段階の推定式の説明変数として考慮した.実証分析の結果,当該公共投資は必ずしも地域の景気変動を大きくするとの結果が得られなかった.これは自治体の公共投資のほどんどが生活面に関わるものであることから,景気には直結しないことが理由であると考えられる.同論文は,査読の後Economics Bulletin誌に掲載された. 関連して,社会資本が株価に与える影響に関する研究に従事した.同研究は3月上旬に開催されたPublic Choice Society Meetingで報告した.報告の際,討論者とフロアから,(1)間接的なクラウディングアウトの可能性,(2)初期時点の社会資本の水準が結果に影響しているのではないか,などのコメントを頂き,議論をした.コメントは論文に反映し,現在改訂要求を受けている雑誌に再投稿中である. 最後に,Public Choice Society Meetingおよび滞在先機関のセミナーに参加することで,米国の政治過程や財政政策についての知識を得た.特にPublic Choice Society Meetingでは,州の財政政策に関するセッションに参加した.セッション参加を通じて,関連する分析手法を,次年度以降の日本での実証分析に適用出来るか否かも探った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究基盤を整え,エチュードとなる研究の一部が査読の後に英文学術雑誌に掲載する形で完成させられたことに加え,分析手法についても有益な情報を得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は,使用するデータベースの整理・構築に加え,計量分析を進める.また,経済理論の部分についても,共同研究者やその他のfaculty memberたちと詰めて行きたい.できれば,日米での比較も試みたい.
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