2020 Fiscal Year Annual Research Report
Sexuality and Nationalization: Politics of the Discourse from the Viewpoint of Female Genital Mutilation in Malaysia(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
16KK0067
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
井口 由布 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80412815)
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Project Period (FY) |
2017 – 2020
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Keywords | ジェンダー / 「女性器切除」 / 医療化 / マレーシア / セクシュアリティ / 女性の身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マレーシアにおける「女性器切除FGM」実践を女性の身体とセクシュアリティとのかかわりで解き明かすことを目的としている。研究者はこれまで基盤Cにおいて農村における「FGM」実践の現状と人々の意識について調査をしてきた。しかしながら、世界の諸地域においてみられるように「FGM」は都市部において医療化してきている。そこで本研究では、マレーシアの公衆衛生学の専門家であるラシド教授の協力のもとで、「FGM」の医療化についての実態の解明を中心に行った。2020年度はこれまでに実施したマレーシア全国の医師たちへの量的調査と、施術をしている医師たちへのインタビュー調査の成果をとりまとめて発表をすることにあてた。2020年10月には国際的に著名な学術誌であるPLOS Medicineに共著論文「Medicalization of female genital cutting in Malaysia: A mixed methods study」が掲載された。マレーシアにおける「FGM」の医療化に関して世界ではじめての論文である。マレーシアにおいては、イスラム教徒の医師で「FGM」の施術を経験しているのは全体の20.5%、宗教的な義務感からそれを行なっていること、「FGM」に対する世界の動向を知らないことなどがわかった。女性の身体とセクシュアリティとのかかわりで医療化を問い直すという課題については、国際学会(Asia Pacific Conference)において「The Medicalization of Female Genital Cutting in Malaysia: Its Meaning toward the Medical Discourse on the Female Body」を報告した。
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