2021 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Syrian Refugee Influx on Previously Migrated Turkish Community in Germany(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
16KK0075
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
丸 健 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (10721649)
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Project Period (FY) |
2017 – 2021
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Keywords | シリア難民 / ドイツ / トルコ人移住者コミュニティー / 社会慣習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,ドイツのトルコ人移住者コミュニティーにおいて社会慣習が規定する家計行動・家計内意思決定メカニズム及び,近年のシリア難民の流入が及ぼす影響を分析することを目的としている. 最終年度である令和3年度は,年度始の研究計画では調査結果に基づく研究成果をまとめて秋以降に論文として発表していく予定であった.しかし,令和3年度に本務校を再び移動することになり,新本務校の学内業務や新規の授業などへの対応に時間を取られ,研究成果の刊行に遅れが生じている.当初計画していた研究以外にも調査結果を基にしたアイディアが得られているので,本研究課題修了後も研究を継続し成果を刊行していきたい. 研究機関全体を通じた研究成果としては,間接的な研究結果として4本の論文を刊行した.まず,シリア難民がトルコの農業労働市場に及ぼす影響を分析した研究では,農業や建設業などの分野において女性・高齢労働者の労働市場からの退出が発生し,難民の流入がより多くなった2015年頃にはその影響が大きくなっていることが明らかになった.また,トルコ人コミュニティーの社会慣習に関する研究では,農業生産環境に変化が起きた時に女性労働に関する社会慣習が農家の生産環境変化への効率的な対応を阻害する可能性があることを明らかにした.この他,戦間期日本農村部に関する研究では,本研究のテーマの一部である家族の移住に伴う家計労働力配分に関する研究,当時の社会慣習が財消費行動に及ぼす影響に関する研究をおこなった.これらの研究を総合的に評価すれば,本研究課題は,労働力という側面も含めた人の移動は地域社会や労働市場などに影響を及ぼすが,その影響が社会慣習によって特定の人々に集中する可能性があることを明らかにしたといえる.
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Research Products
(1 results)