2019 Fiscal Year Annual Research Report
Microscopic study of electronic state for uranium chalcogenide in the whole range of magnetic field(Fostering Joint International Research)
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16KK0106
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
酒井 宏典 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (80370401)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | ウランカルコゲナイド / 核磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
フロリダ州立大学国立強磁場研究所 (FSU-NHMFL) において、ホストとなるA. P. Reyes博士らとともに、ウランカルコゲナイドにおける核磁気共鳴 (NMR)測定を行った。そのために必要な単結晶試料は、2017年9月から12月にかけて米国ロスアラモス国立研究所 (LANL) の強相関電子系・磁性研究グループ (MPA-CMMS) のE. D. Bauer博士をホストとして在外研究を行った際に育成したものである。33S核NMR測定の結果、外部磁場の強さに伴って、NMR緩和時間が顕著に変化することを見出した。NMR緩和時間は、本系の巨大磁気応答する電子状態を反映するものと考えられた。より強磁場における実験データが必要と考えてFSU-NHMFLの供用マグネットである連結ハイブリッド磁石 (SCH) の利用申請を行い採択され、本年度2019年7月に、強磁場25 Tと36 Tにおけるウランカルコゲナイドの33S核NMR測定に成功した。その結果、強磁場36 Tを印加した状態においても、低温においてNMR緩和率が指数関数的に減少をした。このことは、強磁場下でもバンドギャップは存在し、強磁場下における半金属的伝導性は伝導担体の易動度変化によるものであることが示唆された。その上で追加に必要となった実験を2019年11月に遂行した。実験データ解釈、解析に関する議論を行うため、2020年2月にLANLに滞在し、E. D. Bauer博士、F. Ronning博士、J. D. Thompson博士らと議論を行った。その議論を元にして、実験結果を解析、追加実験を行なった。また、関連化合物であるウランカルコゲナイドUTe2が新奇な磁気相図を有する新規超伝導体であることが2018年末に明らかとなり、そのNMR研究について共同研究を行った。また海外滞在中に他の共同研究も進めた。
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Research Products
(8 results)