2019 Fiscal Year Annual Research Report
Control of exciton characteristics towards realization of frequency tunable terahertz wave source(Fostering Joint International Research)
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16KK0129
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小島 磨 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (00415845)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / テラヘルツ分光 / 励起子 / 半導体 / 多重量子井戸 / 差周波混合 / 非線形光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、基課題である励起子を利用した差周波混合でのテラヘルツ電磁波の発生に関して、励起子共鳴条件下での発生をさらに発展させることを目的としている。国際共同研究では、周波数可変テラヘルツ電磁波光源へと展開するために必要な励起子物性の解明と量子井戸構造の設計と作製を行い、評価する。 2018年度までに、新しい試料の設計と作製およびそのテラヘルツ電磁波特性の評価を行ってきた。その結果、異なる多重量子井戸を励起子エネルギーが重なるように設計することで、信号強度が増加することがわかったが、限定的であった。そこで、その理由等を解明するために、試料に印加されている電界の効果を解明することを目的に研究を行った。 量子井戸に電界を印加すると、量子閉じ込めシュタルク効果によって電子と正孔の包絡波動関数が非対称化し、新たな分極状態が形成される。この分極状態が差周波混合信号を発生するための起源になると考えており、電界を印可するために、多重量子井戸層をpn接合内に閉じ込めている。発光スペクトル測定では、共鳴励起・非共鳴励起条件下において励起子発光強度は低励起光強度領域で励起光強度に対して2乗で増加し、その後線形に増加した。これは、励起光強度が低い場合、励起子が不安定であるために、電子または正孔に容易に分離することを意味している。つまり、テラヘルツ電磁波強度が低い理由として、上述の内部電場のために、励起子が分離していることが考えられる。 そこで、反射型ポンププローブ法により、励起子共鳴励起条件下におけるダイナミクス測定を行った。特に、試料から反射されたプローブ光を分光することで、不均一広がりの効果についても考察した。その結果、上述の励起子の安定性との関係を示唆する結果を得た。 以上の成果は、今後のテラヘルツ分光システムの構築において重要な知見になると考えている。
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