2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of in-situ measurement system for 4D dynamics of tumor invasion toward metastasis suppression/control(Fostering Joint International Research)
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16KK0148
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森田 康之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90380534)
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Project Period (FY) |
2017 – 2018
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Keywords | がん / 転移 / 浸潤 / 力学場 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
開発・改良した力学場可視化技術を用い,がん細胞の浸潤力学場計測に成功した.そして,がんスフェロイドから発生する浸潤のHeterogeneityについて,力学的見地から検討した.すなわち,がんスフェロイドのある領域から発生する浸潤先端に着目し,その先端周辺の細胞外マトリックスの力学場解析を行った.また,その先端周囲の細胞外マトリックスの構造解析も同時に行い,がん細胞浸潤時における浸潤力学場と細胞外マトリックスの構造変化の関係性に着目した.実験の結果,がんスフェロイド周囲の細胞外マトリックスの力学場は,初期は収縮・膨張が混在する不安定な様相を呈するが,時間の経過とともに一様に収縮場に移行する.これは,がんスフェロイドを構成するがん細胞が周囲の細胞外マトリックスを手繰り寄せ,周囲のマトリックス濃度を高めていることを示唆している.この傾向は,マトリックスの構造的見地からも観察され,時間の経過とともに,がんスフェロイド周辺のマトリックスの濃度上昇を意味する蛍光強度の増加が見て取れた.特に興味深いのは,がんスフェロイド周辺の細胞外マトリックスは収縮場となることを述べたが,その中でも,収縮度が高い領域,すなわちマトリックスが多く集まる箇所に,細胞の浸潤が進展する挙動が見られた.一方,収縮場を形成しても,マトリックスが集まってこない領域では,がん細胞は浸潤をやめてしまう傾向を示した.まとめると,がん細胞が浸潤する際,周囲のマトリックスに収縮場を形成し,周囲のマトリックスを手繰り寄せるとともに,潤沢なマトリックスが集められた場合のみ,その方向に浸潤を継続するということである.すなわち,がん組織周囲の細胞外マトリックス濃度を意図的に操作することが可能となれば,がん細胞の浸潤を制御できるかもしれないことを示唆している.
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