2021 Fiscal Year Annual Research Report
To understand of a system of root aeration in rice using planar optode(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
16KK0173
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
塩野 克宏 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (20610695)
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Project Period (FY) |
2017 – 2021
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Keywords | 湿害 / 洪水 / 二次元酸素オプトード / 酸素センサー / 耐湿性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ほとんどの植物は水が多すぎる環境では生育できない。酸素漏出バリアはイネなどの湿生植物が水の多い環境に適応するために獲得した、耐湿性の重要形質の1つである。申請者はイネの酸素漏出バリア形成がアブシシン酸(ABA)を介したスベリン化により誘導されることを明らかにしている。本研究課題ではABAシグナリングの上流に位置する、環境変動のセンシングに焦点を当てる。イネが酸素漏出バリア形成を誘導する環境因子を感知する組織を特定し、その組織における網羅的な遺伝子発現解析を行う。これにより、イネの酸素漏出バリア誘導機構の解明を目指した。 前年度までに、デンマークに渡り二次元酸素オプトード法を学び、福井県立大学で二次元酸素オプトードの実験系を確立させた。これは我が国の植物科学研究者として初めてとなる。さらに、バリア誘導のトリガーが硝酸態窒素量の低下にあることを明らかにした。今年度も、バリアの構成成分であるスベリン生合成遺伝子のプロモーターの下流にGFPとGUSを連結したRCN1Pro::GFP-GUSを使って、硝酸態窒素の減少がバリア形成に関わる遺伝子の発現をコントロールする可能性を検証した。しかし、栽培環境の変動のためか、明瞭な結果を得られなかった。一方、Split-rootシステムを用いたバリア誘導の評価についても、引き続き調査を進めたが、栽培系が安定せず、結果は予見的な結果にとどまっている。本研究課題は今年度で終了するが、目標としていた、イネの酸素漏出バリア形成の環境因子をセンシングする分子メカニズムの全容解明には至らなかった。しかし、トリガーとなる環境因子を同定し、評価に重要なsplit root systemを確立させ、我が国初となる二次元酸素オプトードを確立するなど、将来的なバリア形成機構の研究に有効な基盤とノウハウを積み上げることができた。
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