2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cesium desorption from biotite under redox oscillations (Fostering Joint International Research)
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16KK0174
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中尾 淳 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80624064)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 嫌気性チャンバー / Cs固定黒雲母 / 放射光分析 / フェロジン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌中で放射性セシウム(RCs )を固定する媒体として黒雲母に着目した。三八型雲母に属する黒雲母は、二八型雲母と比べると化学風化しやすい。特に水田のように酸化還元が繰り返される環境では、骨格構造中の鉄(Fe)が還元溶出し酸化鉄を生成する反応が促進されるため、黒雲母に吸着したRCsは、長期的にはRCs を再放出する可能性が高い。そこで本研究では、黒雲母からのセシウムの脱着に対する酸化還元反応の影響を明らかにすることを目的として,アリゾナ大学での共同研究を行った。まず、予め安定セシウムを固定態として吸着させた風化黒雲母(Cs固定黒雲母)を調整した。これを,水田土壌試料と混合し,嫌気条件を制御できるチャンバー(嫌気性チャンバー)内にて一定期間培養した結果,還元が進むにつれて溶存セシウム濃度が上昇する傾向が確認された。これは還元に伴うアンモニウムイオンの増加がCs+⇔NH4+のイオン交換を促進させた可能性が高い。また,アリゾナの標高系列に沿って1年間埋設したCs固定黒雲母を回収し,構造中のFeの化学状態について放射光分析を行うとともにセシウムの脱着率について調べた。その結果,乾燥が強い低標高ほどFeの価数変化(Fe(II)→Fe(III))が進んでおり,それと対応して層間のセシウムやカリウムの脱着率が増加する傾向が示された。これは,構造中の鉄の酸化反応が進むことで層負電荷の総量が減少し,層間陽イオンの保持力が低下した可能性が考えられる。このように,アリゾナ大学の室内設備およびフィールド環境を利用することで,黒雲母からのセシウム脱着に酸化・還元の両方が関わり得ることを明らかにした。
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[Int'l Joint Research] アリゾナ大学(米国)2017
Year and Date
2017-04-26 – 2018-03-23
Country Name
U.S.A.
Counterpart Institution
アリゾナ大学
Co-investigator Overseas
Jon Chorover
Department
SWES
Job Title
Professor
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