2019 Fiscal Year Annual Research Report
Economically efficient global wood production conserving biodiversity: An ecological economic approach(Fostering Joint International Research)
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16KK0176
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
山浦 悠一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20580947)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 草地 / 林業 / 生物多様性 / 経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内林業の再生は、国内の草地性生物の保全のみならず、海外の林業活動による海外の生物多様性喪失の防止や、農山村地域の雇用の維持からも望まれる。しかし、国内の林業をめぐる経済的な状況は厳しく、さらに木材生産は多くの国で重要な産業で、木材輸出は輸出国の経済を支えている。したがって世界全体の福利向上のためには、各国の生物多様性を保全しながら、いかに効率的に木材生産を行なうべきか明らかにする必要がある。そこで本研究では、生物多様性の保全を考慮した効率的な木材生産を世界的視野に立って、経済的な側面から明らかにする。主要木材生産国から各種統計情報や土地利用情報を入手し、日本を含めた各国林業や研究の今後のあるべき姿について議論する。 三年目の本年度は、オーストラリアに再度出張し、主要な林業国の林業の正味の現在価値、林業を行なった際の生物種数の減少を各種資料から収集した。後者を前者で除した比を、林業の費用対効果とし、国際的な比較を行なった。その結果、日本のスギ人工林林業の費用対効果は他国の主要な林業と比較して3-4桁劣っているという際立った結果が得られた。これから、林業の経済性と生物多様性の保全に関しては、国内林業の経済活動以外の便益をどのようにとらえるかが大事だと考えられた。 一方で、木材生産下で生物多様性の保全計画を立てるための一助となるような、空間明示型個体群動態モデルを着想した。景観を格子状のセルに分割し、サーキット理論を用いて景観内での生物の分散過程を近似し、各生息地セルの死亡・出生過程をシミュレーションするという一連の流れに基づく。分散過程と死亡・出生過程のモデリングをCircuitscapeとRで統合することで、管理された景観における個体群の挙動を探るうえで、比較的簡単に履行できる枠組みになると考えられた。
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Research Products
(10 results)