2017 Fiscal Year Research-status Report
単一乳癌細胞全ゲノムシークエンス解析技術を応用した腫瘍内不均一性の解析とその克服(国際共同研究強化)
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16KK0204
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
及川 将弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90612416)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 癌 / 遺伝学 / トランスレーショナルリサーチ / 単一癌細胞シークエンス / 乳癌 / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年2月1日から2018年1月31日まで、Dr. Nick Navin Lab, Department of Genetics, MD Anderson Cancer CenterにてVisiting Scientistとして所属し、本課題に関わる研究に従事した。RARECYTEシステム (RareCyte Inc.社)を用いて、末梢血単核球分画より循環腫瘍細胞 (CTC)を一細胞として単離する手技を習得した。一つの乳癌細胞より、Next-generation sequence (NGS)用のバーコードライブラリを作成し、whole genome copy number analysis, whole exome mutation analysis を行う手技 (HM-SNS, SNES)を習得した。さらに本技術を応用して、微量な血漿循環腫瘍DNA (ctDNA)より、原発巣・転移巣の変異情報を用いることなく、copy number, mutation profileを行う手技 (PEGASUS法)を習得した。これらの技術を活用して、転移・再発トリプルネガティブ乳がん患者における、抗がん剤治療中の腫瘍内不均一性と治療抵抗性に関わる因子を解析するための前向き観察研究をDepartment of Breast Medical Oncology と共同で企画立案し、開始した。現在も登録進行中である。また、再発乳癌の癌性髄膜炎症例より髄液(CSF)と血漿を採取し、ctDNAを抽出したのちに、PEGASUS法でcopy number profileとmutation profileを比較検討した。本方法はCSF中の遺伝子変異を高感度で検出することが可能であり、原発巣または血漿中ctDNAとの比較により中枢神経系への転移に関する遺伝学的な機序の同定が期待される。この結果を国際学会 (AACR2018)にて発表した。今後は今回の共同研究で習得した技術を基に、国内で蓄積したサンプルの解析を行い、Navin Labとの共同研究も継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RARECYTEシステム (RareVyte Inc.社)を用いて、末梢血単核球分画より循環腫瘍細胞 (CTC)を一細胞として単離する手技を習得した。一つの乳癌細胞より、Next-generation sequence (NGS)用のバーコードライブラリを作成し、whole genome copy number analysis, whole exome mutation analysis を行う手技 (HM-SNS, SNES)を習得した。さらに本技術を応用して、微量な血漿循環腫瘍DNA (ctDNA)より、原発巣・転移巣の変異情報を用いることなく、whole genome copy number analysis, whole exome mutation analysis を行う手技 (PEGASUS: Plasma Exome and Genome Analysis by Size-Selection and Unbiased Sequencing)を習得した。これらの技術を活用して、転移・再発トリプルネガティブ乳がん患者における、抗がん剤治療中の腫瘍内不均一性と治療抵抗性に関わる因子を解析するための前向き観察研究をDepartment of Breast Medical Oncology と共同で企画立案し、開始した。この様に、単一乳癌細胞全ゲノムシークエンス解析を国内でも実施できる技術を習得し、その技術を用いた共同研究を開始・継続しているため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の共同研究で習得した技術を基に、国内で蓄積したサンプルの解析を行う。具体的には、HER2陽性乳がん患者の治療前後および治療継続中の血漿サンプルを十数例蓄積しており、これらにPEGASUS法を適応してwhole genome copy number analysisを行い、HER2 amplificationの検出および治療効果と予後との関連を解析する予定である。 転移・再発トリプルネガティブ乳がん患者における、抗がん剤治療中の腫瘍内不均一性と治療抵抗性に関わる因子を解析するための前向き観察研究 (Genomic Profiling of Therapy Resistance in Patients with Metastatic Triple-Negative Breast Cancer Using Liquid Biopsies-PA17-0437)について、国内の施設でもIRBへの申請を行い、サンプルの収集を開始する。サンプルの保管方法についての基礎実験は終了しており、CTC, ctDNAともに冷凍での保存・輸送が可能である。集まったサンプルは国内で処理したのちにNavin Lab, MD Anderson Cancer Centerへ送付し、共同で解析を行う予定である。 乳がん癌性髄膜炎症例におけるCSFと血漿中のctDNAのゲノムプロファイル解析については、この技術のfeasibilityに関する報告を国際学会にて行った。今後は同報告の論文化と、症例蓄積を行い、中枢神経系への転移に関わる機序の同定に繋げたいと考えている。 また、これらのNGSを基盤とした技術は汎用性が高く、上記以外の課題についても応用を広げたい。
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Research Products
(3 results)