2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16KT0017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 正人 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (40342836)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 隠れマルコフ過程 / 脳磁図 / 連続変数 / 離散化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までは、隠れ変数から可視変数を与える過程が確率遷移行列で与えられる場合について研究した.しかし,隠れ変数から可視変数を与える過程が決定論的関数で与えられる設定も存在する.今年度は,こちらのモデルも現実的であるので,このモデルの下での推定について部分的に検討した.さらに同時に,この設定での同値性問題も検討中である. 上記の隠れマルコフ過程の理論的問題に加え,今年度は、隠れマルコフ過程の応用についても検討した.具体的には,シンガポール国立大学のYao Zhigang 博士及びFan Zengyan博士と共同で、Magnetoencephalography(脳磁図)における測定データと脳内の磁場を表す隠れ変数を隠れマルコフ過程として定式化し、この設定において、可視変数から隠れ変数を推定する問題を扱った。このようなモデルでは、変数が連続であるので、変数を適切に離散化した上で、隠れマルコフ過程として取り扱う必要がある。一般に離散化を行うと、離散化における刻み幅を小さくすれば精度が上がるが、計算コストも増えるというジレンマがある。このジレンマを解決するために、本研究では2段階に離散化を行うことで、計算コストを抑えつつ、データの精度を上げることができた。特に、本研究では、上記共同研究者と共同でアルゴリズムを実装し、数値シュミレーションを行った。その結果、人工的にデータを生成した場合において、どのような場合に提案手法で十分な精度で可視変数から隠れ変数が推定でき、どのような場合に提案手法の推定精度が悪くなるか数値シュミレーションにより確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、隠れマルコフ過程の数理モデルを脳磁図に応用し、その場合に、2段階離散化法を用いて推定する方法を提案した。この提案手法は海外でも関心を持たれ、国際会議:The 3rd International Conference on Econometrics and Statistics (EcoSta 2019)において招待講演として発表することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
連続系での隠れマルコフ過程は、計算コストが増えてしまう問題がある。離散化を行うと、 離散化における刻み幅を小さくすれば精度が上がるが、計算コストも増えるため、精度と計算コストはトレードオフの関係にある。このトレードオフを解決するために、本研究では2段階に離散化を行うことで、計算コストを抑えつつ、データの精度を上げることができた。このトレードオフは、連続系を扱う際に普遍的に現れる課題であるので、他にもこの手法が応用できる設定があると考えられる。今後はこの応用の可能性について探ることが有効であると考えられる。
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Causes of Carryover |
本研究の目的はマルコフ過程の情報幾何の手法を用いて隠れマルコフ過程のパラメータ推定を行うことにある。これまでは,隠れ変数から可視変数を与えるプロセスが確率的である場合の幾何構造を扱っていた。しかし,本年度後半に,むしろそのプロセスが確定的である場合の方が重要であるとの指摘を受けた。そのため,後者の設定で再度解析する必要があり,次年度への延長が必要となった。
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Research Products
(47 results)