2016 Fiscal Year Research-status Report
piRNAシステムズバイオロジー:人工産生系を用いた機械学習的アプローチ
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16KT0064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝間 進 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20378863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2018-03-31
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Keywords | piRNA / カイコ / 小分子RNA / ピンポンサイクル / 機械学習 / 培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
小分子RNAの一種であるPIWI-interacting RNA (piRNA)は生殖細胞における防御システムの中核を担うことが知られている。piRNA合成経路の1つであるピンポン経路の存在は、大量のpiRNAシークエンスデータを用いたインフォマティクス解析から推定された。しかし、この経路の存在は未だに実験的には証明されておらず、piRNA合成過程の正確な理解が停滞している大きな原因の1つになっている。本研究課題では、申請者が開発した“人工piRNA産生系”を利用したアプローチにより、piRNAの3’末端形成における基本法則を見いだすことを目標とする。平成28年度は以下の結果を得た。 1. BmN4を用いた人工piRNA産生系を利用して、piRNA-PIWIタンパク質による認識に必要な塩基数を調査した。その結果、17塩基の相補が必要であり、22塩基の相補があれば充分であることを示した。この結果は、RNA誌に論文発表した。また、piRNA生合成経路に関わる因子をノックダウンした際のpiRNAライブラリーについて、インフォマティクス解析を実施している。 2. BmN4細胞に持続感染しているカイコマキュラ様ウイルス(BmMLV)とpiRNA経路、およびRNAi経路との関係を調査した。この結果は、現在、論文投稿中である。 3. プレリミナリな解析によって、カイコのpiRNAの塩基長は末端付近の塩基組成によって支配される可能性が示唆されていた。そこで、末端付近の配列をランダムにした実験系が構築できるかの予備的な実験を行った。その結果、概ね期待通りの結果が得られたものの、ランダム部分の配列に偏りが存在することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工piRNA産生系の応用的利用法について論文発表することができたため。また、piRNA末端付近をランダマイズした人工piRNA合成システムも構築できる目処が立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. piRNA末端付近をランダマイズした実験系の再検討を行う。実際には、DNAオリゴの再合成およびライブラリ作成プロトコルの改良により、高品質のライブラリーが得られるようにする。 2. piRNAライブラリーのインフォマティクス解析を継続する。 3. 内在性RNAウイルスであるBmMLVとpiRNA経路との関係性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
プレリミナリーな解析から、ランダム化piRNAライブラリーの作成方法に改良が必要であると考えられたため、一部の実験を次年度に移行した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ランダム化piRNAライブラリーの作成方法を改良し、ライブラリーを作成する。
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