2017 Fiscal Year Research-status Report
構成的操作による微小管メカノネットワークシステムの原理解明
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16KT0065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢島 潤一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00453499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道上 達男 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10282724)
小林 琢也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (60468585)
須河 光弘 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (80626383)
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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Keywords | 微小管 / 細胞骨格 / アクチンフィラメント / キネシン / ダイニン / ミオシンミニフィラメント / FRET / 力センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞機能を統合する伝達システムの実態を明らかにするため、従来の化学信号伝達システムを補完する、もしくは統合して新たな伝達システムとなり得る細胞骨格を主体とした「力学伝達システム」の可能性に着目した。細胞骨格の微小管やアクチンフィラメントは、長距離(マイクロメートルスケール)にわたって力を伝播することが可能である。この細胞骨格が形成する力学的な枠組みを「細胞骨格メカノネットワークシステム」として捉え、このネットワーク内で局所的に加わった力学的刺激が、どのように受容・伝播・応答し、生化学反応の制御を通じて、細胞全体の機能を如何に制御するかを、構成的アプローチによって定量し、細胞骨格による力学伝達システムという研究分野を開拓する。本年度においては、主に以下の4項目について研究を進めた。 1)昨年度に引き続き、アクチンフィラメントとミオシンからなるメカノネットワーク構造を形成させ、ネットワークのコネクティビティをATP濃度依存的に制御する因子をネットワークに導入することで、ネットワークの収縮様式の制御機構を提示した。研究成果の投稿論文の作製を行った。 2)微小管とキネシンからなるメカノネットワーク構造を形成させ、微小管からなる高次構造体の形成過程を観察した。 3)AODによる光ピンセット顕微鏡の開発を進め、アクチン間や微小管間にかかる架橋タンパク質の破弾力を定量する実験系の構築を行った。 4)細胞骨格間の力を定量できるFRETセンサーを改良し、FRET効率の高い蛍光色素やリンカーの選択を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で掲げていた、細胞骨格によるメカノネットワークを構築し、細胞骨格に結合する因子やモータータンパク質により、そのネットワークの収縮を制御する分子機構の一端を解明することにおいて成果が得られ、学会発表を行い、論文の投稿段階まで到達した。 また、計画の一つである力FRETセンサーの能力を定量できる実験系の確立も進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの研究期間に以下の項目の研究を進める。①力センサーの開発及び1分子でのセンサーの定量、②微小管メカノネットワークの構築と制御、③メカノネットワーク内の3D力学測定する光学系を構築し、ネットワークの力学特性を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 研究目的で掲げていた一部の成果を、投稿論文として公表する準備に時間を要し、他の研究が想定より遅れたため。 (使用計画) 技術補佐員を雇用することで、昨年度に実施できなかったサンプルの調整及び定量データの解析を行う。
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