2018 Fiscal Year Research-status Report
In vitro再構成されたゲノム自己複製システムのふるまいとその進化
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16KT0076
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
末次 正幸 立教大学, 理学部, 准教授 (00363341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 啓 立教大学, 理学部, ポストドクトラルフェロー (70747899) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
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Keywords | 試験管内自己複製系 / 複製サイクル再構成系 |
Outline of Annual Research Achievements |
複製の鋳型となるDNA分子(ミニ染色体)に自身の複製に必要な複製タンパク質群の情報を遺伝子のかたちでコードしておく。転写翻訳反応によってその情報を引き出せば、産生する複製装置によってDNA分子の新たなコピーが作られる。そのコピーはまた、転写翻訳によって次なる世代の複製装置を生み出すので、情報分子の継続的な自己複製のサイクルが繰り返されることとなる。 複製・転写・翻訳のそれぞれの反応系は、各反応ステップにおいて精製タンパク質をもちいた試験管内再構成系が構築されている。染色体複製システムとしては、20種をこえるペプチドを混ぜ合わせることによって、複製開始、終結、分離からなるミニ染色体の「複製サイクル」を何度も繰り返すような系も再構成できている。そこで、鋳型となるミニ染色体上に複製サイクル再構成系のタンパク質を遺伝情報の形でコードさせておき、その情報発現によって複製サイクルの進行を導くことができるような系の構築を進めた。遺伝情報発現においては転写翻訳反応再構成系であるPUREsystemを利用した。平成29年度までの検討の結果、ミニ染色体にコードされた複製開始遺伝子の転写翻訳に依存して、ミニ染色体自身の複製サイクルの開始を誘導できるような再構成系(ミニ染色体自己複製系)を構築し、このミニ染色体自己複製系を油中水滴エマルション内で反応させるための条件を決定した。平成30年度は、複製開始遺伝子だけでなく、「複製サイクル」に必要な20種以上の因子についてもPUREsystemから発現した遺伝子による複製反応の検討を行った。この検討により全構成因子を遺伝情報へと置換えるための条件が決まりつつある。 今後、これを基盤に、自己複製されるミニ染色体系を進化させるシステムの構築を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
染色体複製サイクル進行に必要な20種以上のタンパク質一つ一つについて、遺伝情報への置き換えが可能か検討し、遺伝情報に置き換えた遺伝子からの発現による複製サイクル進行を導くための条件を見出した。 以上から当初予定していた計画通りに実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
個々の複製サイクル遺伝子についてPURE systemでの発現量を最適化し、全遺伝子を統合した反応系における複製サイクル進行を目指す。つまり、これまで複製サイクルの再構成に必要であった精製タンパク質を全く用いず、それらの遺伝情報のみから反応系が駆動できるようにする。また、その発現量最適化においては、進化工学を利用したアプローチを進める。
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Causes of Carryover |
進化工学実験を次年度に一部後ろ倒しにし、遺伝子の試験管内発現実験を優先して進めたため。
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Research Products
(25 results)